クリアー塗装後の磨きは、待つ期間・番手の順番・磨く強さで仕上がりが変わります。カー用品メーカーのソフト99(株式会社ソフト99コーポレーション)が公開している取扱説明とQ&Aをもとに、手順と失敗の直し方を整理します。

クリアー塗装後の磨きは、何日待って、何番から始めればいいですか?

待つ期間は使ったクリアーの説明に従うのが基本です。番手は、表面の状態を見て「水研ぎ→コンパウンド3段階」のどこから始めるかを決めます。
📌 この記事でわかること
● クリアーの種類ごとに、磨き始めてよい時期の目安
● 表面の状態別に、どの工程から始めるかの判断表
● 艶が出ない・ムラが残るときの原因と戻り方
● 金属磨き「ピカール」など身近な研磨剤を塗装面に使ってよいか
目次
クリア塗装した後はどうすればいい?まず確認したい乾燥と状態
最初に、使ったクリアーが「磨きが必要な塗料かどうか」を確認します。同じソフト99の車用補修スプレー「ボデーペン」でも、1液と2液で扱いが違います。
| 製品(ソフト99) | 種類・容量 | 磨きについての公式の案内 |
|---|---|---|
| ボデーペン クリアー | アクリル樹脂の1液・300ml | コンパウンド等の最終磨きは一週間以上乾燥させてから |
| ボデーペンウレタンクリアー | 2液ウレタン・320ml | コンパウンドによる最終磨き仕上げは不要 |
どちらもメーカー希望小売価格は「オープン」です。ウレタンクリアーは、金属ピンを押した時点から12時間が使用期限で、乾燥後の塗り重ねはできません。
乾燥を待つ間に、タレ・ブツ(ホコリ噛み)・ゆず肌(ゆずの皮のような細かい凹凸)がないか、斜めから光を当てて確認します。
⚠️ 注意
ボデーペンは可燃性ガスを含み、極めて引火しやすい製品です。火気のある所では使わず、塗装中も乾燥中も換気を十分に行ってください。
有機溶剤中毒のおそれもあるため、換気を十分にし、必要に応じてマスクと手袋を着けます(メーカーの注意書き)。
塗装後の磨き時間は?触れる時期と磨ける時期の違い
ボデーペン クリアーなら、一週間以上乾燥させてから磨きます。表面が乾いて触れるようになっても、磨いてよい時期とは別です。
| タイミング | 目安 | 出典の内容 |
|---|---|---|
| クリアーの重ね塗り | 1回ごとに約10分 | ウレタンクリアーの使い方。15~25cm離して薄く数回 |
| コンパウンドでの磨き | 一週間以上乾燥後 | ボデーペン クリアーの使い方 |
| コンパウンドシートでの研磨 | 塗装が完全に乾いてから | コンパウンドシートの使い方 |
ボデーペン クリアーの製品ページには、指触乾燥や完全乾燥の時間は書かれていません。他社のクリアーは表記が違うため、缶の裏の表示に従います。
コンパウンドで磨くとどうなる?失敗を招く原因

コンパウンドは研磨剤で、塗膜を少しずつ削って表面をならします。ソフト99の液体コンパウンド9800仕上げセット(300ml)も「磨き過ぎに注意」とし、一度に磨く範囲を20~30cm四方と案内しています。
| よくある失敗 | 原因(メーカーの注意書き) | 対策 |
|---|---|---|
| 角やプレスラインだけ下地が出た | ボディのコーナーや突起部は塗膜が非常に薄い | 角は避けて平面だけ磨く |
| シミや色むらが出た | 炎天下・ボディが熱い時の使用、塗ったまま長時間放置 | 日陰で、冷えた状態で作業する |
| 磨いたら新しい傷が増えた | 表面に残った砂・ホコリ、風が強い日や砂ぼこりの多い場所での作業 | 洗って拭き取ってから、風のない場所で磨く |
| 傷が消えない | キズの深さによっては消えない | ペーパーの工程に戻る |
クリア塗装前の磨きは必要?下地の仕上げが結果を左右する理由
必要です。ただし研ぐのはカラー塗装の前で、カラーとクリアーの間ではありません。
ボデーペンの使い方では、カラーを塗り終えて2~5分後にクリアーを吹くため、その間に研ぐ時間はありません。
① カラーの前:プラサフ・タッチアップ跡を1000番で研ぐ
ソフト99のQ&Aでは、1000番の用途をタッチアップ塗料やプラサフ(下塗り塗料)の研磨としています。
② クリアーの前:ゴミ・油分・ワックス・サビを落とす
ウレタンクリアーの使い方でも、手順の1番目がこの下処理です。油分が残ると塗料が弾かれたり密着が不完全になったりするとソフト99は説明しています。
③ クリアーの乾燥後:1500番などで仕上げる
1500番の用途は、塗装後の仕上げや汚れ落としとされています。脱脂剤の使い方はシリコンオフで塗装が溶ける?原因・起きやすい素材と対処法まとめで解説しています。
クリア剥がれが起きるのはなぜ?密着不良と磨きの落とし穴
剥がれの主な原因は、下地との相性と油分の残りです。メーカーの注意書きにも、下地によって起きる不具合が書かれています。
| 原因 | メーカーの注意書き(ソフト99) | 対策 |
|---|---|---|
| 下地の塗料が違う | ウレタンクリアーはボデーペン以外の塗料の上には使用できない | 同じシリーズで塗り重ねる |
| 再塗装面・樹脂パーツ | 下地の状態によってはハガレやチヂミが起こることがある | 目立たない所で試す |
| 乾燥後に重ね塗り | ウレタンクリアーは乾燥後の塗り重ねができない | ピンを押してから12時間以内に塗り終える |
剥がれは磨きでは直せず、剥がれた範囲は研いで塗り直すことになります。
クリアー塗装後の磨きのやり方:番手選びから艶出しまで


磨きは「肌を整える工程」と「艶を出す工程」に分けると迷いません。前の工程の傷が消えてから次へ進むのが基本です。
表面の状態別の始め方、番手の順番、仕上がりが悪いときの戻り方を説明します。
クリア塗装の磨きは何番がいい?基本の考え方と選び方
始める工程は、今の表面の状態で決めます。軽い曇りだけならコンパウンドから、ザラつきやゆず肌があれば水研ぎから始めます。
| 表面の状態 | 始める工程 | 注意点 |
|---|---|---|
| 軽い曇り・薄い磨き跡 | コンパウンドの仕上げ用・超鏡面用 | 砂やホコリを洗い流してから |
| ザラつき・ゆず肌・ブツ | 1500番前後の水研ぎ、またはコンパウンドシート | 表面がムラなく白くなるまで |
| タレ | サンドペーパーで削り落とす | スプレーシンナーでは落ちない(ウレタンクリアー) |
| 爪が引っかかる深い傷 | ペーパーの工程、または再塗装 | コンパウンドシートでは消せない |
ペーパーの番手は数字が小さいほど粗くなります。粗い番手から始めるほど後の工程が増えるため、状態に合う一番細かい工程から始めます。
番手の目安:傷の深さ別に段階を決める
段階は「ペーパーで面を整える→コンパウンド3段階で艶を出す」の順に組みます。ソフト99の製品で並べると、次のようになります。
| 段階 | 番手・製品(ソフト99) | 用途の案内 |
|---|---|---|
| 下地づくり | 耐水サンドペーパーセット S(#150・#320×2・#600×2・#1000、93×115mm) | 塗装の下地作り、サビ取り |
| 塗装後の仕上げ | 高級カラーサンドペーパーセット(#800×3枚・#1500×3枚) | 1500番は塗装後の仕上げ・汚れ落とし |
| 肌の調整 | コンパウンドシート(水研ぎ) | 塗装面の肌合いを整える |
| 艶出し | 液体コンパウンドトライアルセット(80ml×3種・専用スポンジ付き) | キズ消し用→仕上げ用→超鏡面用の順 |
どの段階でも、前の段階の傷が見えなくなってから次へ進みます。
2000番はどこで使う?仕上げ前の整え方と注意点
2000番を使うなら、1500番の後・コンパウンドの前です。ソフト99のペーパーセットは1500番までで、2000番の用途を案内したページは見当たりませんが、番手が大きいほど目が細かいため、1500番の傷を浅くそろえる位置になります。
終わりの目安は、コンパウンドシートの説明にある「表面がムラなく白くなれば塗装肌が整ってきた状態」です。
研ぎ方は、ソフト99の耐水サンドペーパーの使い方に沿って次のように進めます。
● バケツに水を用意し、水をつけて研ぐ
● 直線的に往復し、タテ・ヨコ・ナナメと方向を変える(円を描くとペーパー跡が残りやすい)
● ペーパーの一か所だけを使わず、新しい面で研ぐ
● 研磨状態を確かめながら、削りすぎない(角やプレスラインは特に)
📎 参考: ソフト99「耐水サンドペーパーセット M」
クリア塗装後のザラザラはコンパウンドで直る?原因別の対処手順

軽い曇りはコンパウンドで直りますが、ブツやゆず肌のザラつきは先に水研ぎが必要です。コンパウンドだけで段差を落とそうとすると、同じ所を長く磨くことになります。
ソフト99のコンパウンドシートの手順をもとにすると、流れは次の3段階です。
手順1:洗ってから水研ぎで肌を整える
砂やホコリを水で洗い流し、シートの灰色の面を軽く押し付けて水研ぎします。研いだ部分がムラなく白くなったら、範囲を広げて軽く研ぎ、削りカスを洗い流します。
手順2:コンパウンド極細で艶を戻す
水分を拭き取り、コンパウンド極細を専用スポンジで使って磨きます。ムラが出たら手順1に戻ります。
手順3:液体コンパウンドで仕上げる
最後に液体コンパウンドで研磨して仕上げます。爪が引っかかるような深い傷は、この方法では消せません。
なお、コンパウンドシートは未塗装バンパーとメッキ部分には使えません。
📎 参考: ソフト99「コンパウンドシート」
艶が出ないのはなぜ?磨き順・圧・回転の見直しポイント
艶が出ないときは、前の工程の傷が残っていないかを先に疑います。強くこするより、残っている傷の工程まで一段戻ります。
| 症状 | 考えられる原因 | 見直すこと |
|---|---|---|
| 斜めから見ると線状の傷 | ペーパー目・粗いコンパウンドの傷が残っている | 一段前の番手・コンパウンドに戻る |
| 細かいコンパウンドに替えても曇る | 前のコンパウンドがスポンジ・タオルに残っている | 種類を変えるたびにスポンジとタオルも交換する |
| 部分的にしか艶が出ない | 一度に磨く範囲が広すぎる | 20~30cm四方ずつ磨く |
液体コンパウンドトライアルセットは、付属スポンジを「直線的に動かす」よう案内し、磨き終えたらワックスやコーティング剤で塗装面を保護することをすすめています。液体コンパウンド9800仕上げセットはポリッシャーでも使えますが、磨き過ぎの注意は手磨きと同じです。
📎 参考: ソフト99「液体コンパウンドトライアルセット」
ムラが残る時の対処:磨き筋と透けムラを分けて考える
ムラは「磨き筋」か、下地の色が透けてくる「透けムラ」かで、対処が逆になります。見分けるには、ライトを当てて角度を変えてみます。
角度で見えたり消えたりする線・円の跡なら、磨き筋です。一段前のコンパウンドに戻し、範囲を少し広げて(目安は20~30cm四方)磨き直します。
角度を変えても濃淡が残り、角やエッジに出ているなら、クリアーが薄くなって下地が透けている状態と考えて、磨くのを止めます。ソフト99もボディのコーナーや突起部は塗膜が非常に薄いと注意しており、ここは磨いても戻らないため、塗り直しを検討します。
磨きピカールは使える?向く場面・向かない場面の判断
塗装面の磨きには使わず、塗装用のコンパウンドを使います。金属磨き「ピカール」の製造元である日本磨料工業株式会社は、ピカール液の「適さないもの」に塗装・コーティングを挙げています。
| 区分 | 日本磨料工業の案内 |
|---|---|
| 適しているもの | 真ちゅう、銅、ステンレス、アルミ、スズ、鉄等の金属やプラスチック類 |
| 適さないもの | 塗装・コーティング、金銀メッキや特殊な表面処理をしたもの |
塗装や特殊な処理をしたステンレスも、色落ちやムラのおそれがあるため使用不可です。マフラーやボルトなど、塗装していない金属部分のくすみ取りがピカールの出番です。
なお、消費期限の目安は未開封で3年、開封済みで1年以内と案内されています。
📎 参考: 日本磨料工業「ピカールに関するQ&A」
まとめ:クリアー 塗装後の磨きで艶を出すための手順と注意点
クリアー塗装後の磨きは、待つ期間と工程の順番を守れば失敗を減らせます。
● ボデーペン クリアーは一週間以上乾燥させてから磨く(ウレタンクリアーは磨き不要)
● ザラつきは水研ぎで「ムラなく白く」してからコンパウンドへ
● コンパウンドはキズ消し用→仕上げ用→超鏡面用、20~30cm四方ずつ
● 角は塗膜が薄いので磨かない。透けムラが出たら磨くのを止める
● ピカールは塗装面には適さない
磨く前に、使ったクリアーの缶の表示で乾燥期間と磨きの要否を確認してください。
📚 参考文献・出典
※ 本記事はメーカーの製品情報・取扱説明・Q&Aをもとに作成しています。使用する製品の表示を必ずご確認ください。

