okoume(オクメ)材のギターについて、木材の公的データとメーカーの公式スペックから、特徴と他材との違いを整理します。

okoume(オクメ)木材のギターって、実際どんな音がするんですか?マホガニーとどう違うのか気になっています。

オクメは、米国のギターメーカーGibson(ギブソン)が「見た目も音もマホガニーによく似た代替材」と説明している木材で、マホガニーより軽いのが特徴です。音の好みは個体や構造でも変わるので、数値で分かることと試奏で確かめることを分けて整理します。
📌 この記事でわかること
● オクメの比重・硬さ・強度を他のギター材と数値で比べた結果
● オクメを使っている実際のギターと、スペック表での見分け方
● エボニー・セン・オバンコールとの違いと使い分け
● 自分でオクメのボディを加工・塗装するときの注意点
okoume木材ギターの特徴とサウンド傾向を詳しく解説


オクメは中部アフリカ産の広葉樹で、Gibsonは「Gabon mahogany(ガボンマホガニー)」という別名も紹介しています。まずは木材としての数値と、どのギターに使われているかを確認しましょう。
ここでは、オクメの基本データと採用モデル、加工のしやすさを見ていきます。
ベースに使われる理由とその魅力
オクメがベースに使われるのは、マホガニーに近い木材で、しかもマホガニーより軽いためです。森林総合研究所監修の木材工業ハンドブックの値では、気乾密度はオクメ0.44に対し、アフリカンマホガニーは0.53です。
Gibsonは、傘下のブランドEpiphone(エピフォン)のギター・ベースで、ボディやネックが「mahogany variety」と表記されたものは、一般にオクメかサペリ(アフリカ産の広葉樹)で作られていると説明しています。
指板に使う例もあり、Epiphone Viola Bassの公式スペックはボディがメイプル、指板がオクメです(同ページは販売終了の表示)。どの部位にどの木材を使っているかは、製品ページの「Body Material」「Fingerboard Material」の欄で確認できます。
Okoumebodyとは?ギターに使われる構造の特徴
okoume body(オクメボディ)とは、ボディにオクメを使ったギター・ベースのことです。メーカーの公式スペックでは、次のように表記されています。
| モデル | オクメの使用部位 | 公式スペックの表記 |
|---|---|---|
| Epiphone SG Tribute(エレキギター) | ボディ | Body Material: Okoume (Gaboon Mahogany) or Sapelli(ネックはマホガニー、指板はローレル) |
| ヤマハ NCX1・NCX1C・NTX1(ナイロン弦のエレクトリッククラシックギター) | 裏板・側板 | ナトーまたはオクメ(表板はシトカスプルース単板、NCX1Cは米杉単板。棹はナトー) |
どちらも「または」と書かれているとおり、同じモデルでも個体によって木材が違うことがあります。ナトーは南洋材の広葉樹で、同じNXシリーズでもNCX1FMは裏板・側板がフレイムメイプルです。
オクメ材の特徴は?軽さと音のバランスに注目

オクメは「軽くて柔らかめ、乾燥が早い」木材です。フランスの研究機関CIRADと国際熱帯木材機関(ITTO)が公開する熱帯材データベースTropixの値は次のとおりです(比重・硬さ・強度は含水率12%時)。
| 項目 | オクメの値 |
|---|---|
| 比重 | 0.44 |
| モナン硬さ(表面の硬さの指標。大きいほど硬い) | 1.6 |
| 曲げ強さ/ヤング率(たわみにくさ) | 62MPa/9,690MPa |
| 収縮率(接線方向/半径方向) | 6.9%/4.6% |
| 乾燥 | 速い・狂いや割れのリスクはわずか |
| 耐朽性 | 菌に対してクラス4(耐久性が低い)。用途は屋内・雨のかからない所(使用クラス2) |
主な産地はガボン・カメルーン・コンゴ共和国・赤道ギニアで、合板の表板・芯板や家具、内装材にも使われています。ワシントン条約(CITES)の附属書には掲載されていません(Tropixの2025年の記載)。
オクメギターの音はどんな響き?実際のサウンド傾向を分析
オクメの音は、マホガニーに近い方向と考えるのが出典のある説明です。Gibsonは、オクメをカヤ(Khaya=アフリカンマホガニー)・サペリと並べて、マホガニーの代替材に挙げています。
数値で見ると、ヤング率はオクメ9,690MPa、マホガニー(Swietenia)10,790MPaと近い一方、比重は0.44と0.60で、同じ大きさならオクメのほうが軽くなります(Tropixの値)。
ただし、エレキギターの音はピックアップや構造、個体差の影響も大きく、木材の数値だけでは決まりません。気になるモデルは、同じ価格帯のマホガニー表記のモデルと弾き比べて、重さと音の両方を確かめます。
オクメの強度はどのくらい?耐久性と加工性を比較
オクメの圧縮強さは36MPaで、マホガニー(Swietenia)の54MPaより低く、モナン硬さも1.6と3.4で柔らかめです(Tropixの値)。ぶつけたときにへこみやすい点は意識しておきます。
自分でボディを削ったり塗装したりする場合は、Tropixが挙げる加工上の注意を押さえておきます。
| よくある失敗 | 原因(Tropixの記載) | 対策 |
|---|---|---|
| 刃がすぐ切れなくなる | 刃物を摩耗させる性質が高い | 超硬(タングステンカーバイド)刃を使う |
| カンナがけで表面が毛羽立つ | 木目が交互にねじれた交錯木理があり、毛羽立ちやすい | 刃を研いだ状態で薄く削り、サンディングで整える |
| 塗装面が平らにならない | よい仕上がりには目止めが必要 | 塗装前に目止め(木の表面の細かい穴を埋める下処理)をする |
釘打ち・ねじ留めは「良好」とされているので、ピックガードやパーツの取り付けで困ることは少ない木材です。
okoume木材ギターの選び方と他の木材との違いを比較


木材の違いは、比重と硬さを並べると一目で分かります。そのうえで、重さ・見た目・指板の弾き心地のどれを優先するかで選び分けてください。
ここからは、ほかのギター材との比較と選び方をまとめます。
ギター木材の良し悪しを見分けるポイント
完成品のギターでは、木材の良し悪しを外から見分けるのは難しいため、まずスペック表の表記と重さで判断します。確認したいのは次の3点です。
● ボディ材の表記(Okoume・Mahogany・「mahogany variety」・「または」の有無)
● 楽器本体の重さ(気乾密度はオクメ0.44、サペリ0.65で、同じ形なら差が出る)
● 塗りつぶし塗装か、木目が見える塗装か(塗りつぶしは木目で判断できない)
「オクメまたはサペリ」と書かれたモデルで木材にこだわる場合は、購入前に販売店へ個体の仕様を問い合わせます。
ギターボディ材の違いを理解して自分に合う音を選ぶ
ボディ材は「何を優先するか」で選ぶと迷いません。気乾密度(木材工業ハンドブックの値)をもとにした目安は次のとおりです。
| 優先したいこと | 候補になる木材 | 理由 |
|---|---|---|
| 軽さ | オクメ(0.44) | アフリカンマホガニー(0.53)・サペリ(0.65)より軽い |
| マホガニーに近い見た目と音 | オクメ・サペリ・アフリカンマホガニー(Khaya) | Gibsonがマホガニーの代替材として挙げている |
| 重さと硬さのある木材 | ホワイトアッシュ(0.69)・オバンコール(0.74) | オクメの1.5倍以上の密度 |
表の値は樹種ごとの代表値で、個体差があります。最終的には、手に取ったときの重さと試奏した音で決めます。
安いギターで使われる木材にはどんな特徴がある?
手頃な価格帯のギターでは、本物のマホガニー(Swietenia)の代わりに、オクメやサペリが使われることがあります。たとえばボディが「オクメまたはサペリ」のEpiphone SG Tributeは、米国のGibson公式ストアで279.00ドルと表示されています。
取引条件にも違いがあります。Tropixによると、マホガニー(Swietenia)の主要3種はワシントン条約(CITES)の附属書に掲載されていますが、オクメは掲載されていません。
そのため「安い=質の悪い木材」とは限りません。スペック表に「Mahogany」とあっても、本物のマホガニーなのか代替材なのかは表記の細部で確認します。
エボニー木材ギターとの違いをサウンド面で比較

エボニー(黒檀)はギターでは主に指板に使われる硬く重い木材で、ボディに使われるオクメとは役割が違います。Gibsonは、エボニー指板の明るさと音の粒立ちを、同社の代表的なモデルLes Paul CustomやES-355の音の特徴の一つとして挙げています。
| 項目(Tropixの値) | オクメ | アフリカンエボニー |
|---|---|---|
| 比重 | 0.44 | 0.90 |
| モナン硬さ | 1.6 | 7.0 |
| ヤング率 | 9,690MPa | 15,500MPa |
| 主な用途 | ボディ・裏板・側板 | 指板 |
比べるなら「オクメかエボニーか」ではなく、「オクメのボディにどの指板材を組み合わせるか」という見方になります。ヤマハのNXシリーズでも、上位のNCX5・NCX3はエボニー指板、オクメを使うNCX1はウォルナット指板です。
ギター木材センとの違いは?オクメとの使い分け方
セン(栓)は国産の広葉樹で、気乾密度は0.52と、オクメ(0.44)より2割ほど重い木材です(木材工業ハンドブックの値)。
使い分けの目安は産地と見た目で、センは日本材、オクメはアフリカ材です。音の差は個体や構造による部分が大きいため、重さと見た目の好みで候補を絞ってから試奏で比べます。
オバンコール材ギターとの音質や重量の違い
オバンコール(Guibourtia ehie)は、オクメのおよそ2倍の比重を持つ硬く重い木材です。Tropixの値(含水率12%時)で比べると、差は次のとおりです(気乾密度では0.74)。
| 項目(Tropixの値) | オクメ | オバンコール |
|---|---|---|
| 比重 | 0.44 | 0.82 |
| モナン硬さ | 1.6 | 7.5 |
| ヤング率 | 9,690MPa | 21,470MPa |
| CITES | 掲載なし | 掲載なし |
どちらもアフリカ産ですが、たわみにくさは2倍以上違います。軽さと扱いやすさを取るならオクメ、硬く重い木材の手応えを求めるならオバンコールという分け方になります。
エレキギターのボディに使われる木材一覧とokoumeの位置づけ
主なボディ材の中で、オクメは「軽い側」に位置します。木材工業ハンドブック(森林総合研究所監修)の気乾密度を、軽い順に並べると次のとおりです。
| 木材 | 気乾密度(g/cm³) | 分類 |
|---|---|---|
| オクメ、ガブーン | 0.44 | アフリカ材 |
| アガチス | 0.46 | 南洋材(針葉樹) |
| セン | 0.52 | 日本材 |
| アフリカンマホガニー | 0.53 | アフリカ材 |
| ブラックウォールナット | 0.63 | 北米材 |
| ナトー | 0.64 | 南洋材 |
| サペリ | 0.65 | アフリカ材 |
| ホワイトアッシュ | 0.69 | 北米材 |
| オバンコール、エヒー | 0.74 | アフリカ材 |
ヤマハのNCX1などでオクメと並んで書かれているナトー(0.64)や、SG Tributeで並ぶサペリ(0.65)と比べると、オクメの軽さがよく分かります。
まとめ:okoume木材ギターの特徴と選び方を総まとめ

okoume木材ギターは、マホガニーに似た性質を持ちながら軽いことが最大の特徴です。
● 気乾密度0.44で、アフリカンマホガニーやサペリより軽い
● Gibsonはマホガニーの代替材と説明し、Epiphoneの「mahogany variety」表記に使われる
● 柔らかめで打痕がつきやすく、加工では超硬刃と塗装前の目止めが必要
● 「または」表記のモデルは個体ごとに木材が違うことがある
候補のモデルが決まったら、スペック表の表記を確かめ、店頭で重さと音を弾き比べてから選んでください。
📚 参考文献・出典
・CIRAD・ITTO Tropix – Okoume(技術データシート)
・CIRAD・ITTO Tropix – Mahogany(技術データシート)
・CIRAD・ITTO Tropix – African Ebony(技術データシート)
・CIRAD・ITTO Tropix – Ovangkol(技術データシート)
・北海道 – 樹種別の気乾密度の値の例(木材工業ハンドブック改訂4版・森林総合研究所監修より)
・Gibson – Tonewood: A Guitar Player’s Guide
・Gibson(Epiphone) – SG Tribute 製品仕様
・Gibson(Epiphone) – Viola Bass 製品仕様
※ 木材の数値は樹種ごとの代表値で、産地や個体によって差があります。価格は各公式ストアの表示に基づき、変わることがあります。

