アングルを45度に切って直角の枠を組むとき、各部材の短い側は「長い側−辺の幅×2」になります。計算の根拠と、メーカーの規格表・取扱説明書で確認できる注意点をまとめました。

アングルを45度カットするとき、どの基準で長さを測ればいいのか分かりません。

45度で切ると、切り口は辺の幅と同じ長さだけ斜めに進みます。
30×30のアングルなら片側30mm、両端で60mmの差が長い側と短い側に出るので、どちらの側で測るかを先に決めてください。
📌 この記事でわかること
● 45度カットで長い側と短い側の差がいくつになるか(計算式と早見表)
● 等辺山形鋼の寸法表記と、規格表に載っている断面積・単位質量
● 切り欠き(V字カット)で曲げる場合の寸法の出し方
● グラインダーと切断機の取扱説明書にある注意事項
アングル45度カット寸法の基礎知識と正しい測り方


寸法の間違いは、外寸で測ったのか内寸で測ったのかを決めないまま線を引くことから起きます。まずアングルの表記と、基準の取り方を確認します。
この記事では、片方の辺を枠の面に寝かせ、もう片方の辺を外周側に立てる「額縁型」の組み方を前提に説明します。
アングル45度カットとはどんな加工方法?
アングル45度カットは、2本の端をそれぞれ45度に切り、突き合わせて90度の角を作る加工です。斜めに切るため、1本の部材に「長い側」と「短い側」ができます。
| 基準 | 測る位置 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 外寸基準 | 長い側(枠の外周) | 枠の外形の大きさが決まっているとき |
| 内寸基準 | 短い側(枠の内周) | 枠の内側にはめ込む物の大きさが決まっているとき |
どちらで測っても、長い側と短い側の差は同じです。図面やメモに「外寸◯mm」「内寸◯mm」と基準を書いてから、けがき線を引いてください。
アングル材の寸法表記はどのように決まっている?
アングル材は「辺A×辺B×厚さt」の順にmmで表記します。「30×30×3」なら、2つの辺の幅がどちらも30mm、厚さが3mmです。
鋼のアングルは、JIS G 3192(熱間圧延形鋼の形状、寸法、質量及びその許容差)で山形鋼として扱われ、AとBが同じものを等辺山形鋼と呼びます。JFEスチールの形状寸法表には、辺と厚さのほかに角の丸みも載っています。
| 記号 | 意味 | 30×30×3の値 |
|---|---|---|
| A×B | 2つの辺の幅 | 30mm×30mm |
| t | 厚さ | 3mm |
| r1 | 内側の付け根の丸み | 4mm |
| r2 | 辺の先端の丸み | 2mm |
内側の付け根は直角ではなく、丸み(r1)が付いています。相手の部材をこの付け根に突き当てる組み方では、丸みの分だけ当たるので、ヤスリで合わせる前提で考えます。
一般的な寸法と種類について

等辺山形鋼は20×20×3から規格表に載っています。小さいサイズの値を、JFEスチールの形状寸法表から抜き出すと次のとおりです。
| A×B(mm) | 厚さt(mm) | 断面積(cm²) | 単位質量(kg/m) |
|---|---|---|---|
| 20×20 | 3 | 1.127 | 0.885 |
| 25×25 | 3 | 1.427 | 1.12 |
| 30×30 | 3 | 1.727 | 1.36 |
| 30×30 | 5 | 2.746 | 2.16 |
| 40×40 | 3 | 2.336 | 1.83 |
| 40×40 | 5 | 3.755 | 2.95 |
| 50×50 | 4 | 3.892 | 3.06 |
| 50×50 | 6 | 5.644 | 4.43 |
この表は鋼(スチール)の値です。アルミやステンレスのアングルは規格と寸法の体系が別なので、購入する製品のカタログで辺と厚さを確認してください。
規格名に「許容差」とあるとおり、製品の寸法には幅があります。線を引く前に、手元の材料の辺と厚さをノギスで測っておくと計算値とのずれを防げます。
切り欠き寸法を正確に出すポイント
1本のアングルを曲げて角を作る「切り欠き」は、寝かせる辺に90度のV字を切り、深さを「辺の幅A−厚さt」にします。V字は左右45度ずつなので、辺の先端での開き幅は深さの2倍です。
| アングル | V字の深さ(A−t) | 先端での開き幅 |
|---|---|---|
| 30×30×3 | 27mm | 54mm |
| 30×30×5 | 25mm | 50mm |
| 40×40×3 | 37mm | 74mm |
| 40×40×5 | 35mm | 70mm |
| 50×50×4 | 46mm | 92mm |
| 50×50×6 | 44mm | 88mm |
V字の頂点が、曲げたあとの角の内面になります。外寸で長さを決める場合は、端から頂点までの距離に厚さtを足した値が外寸です。
付け根には丸み(30×30×3でr1=4mm)があり、曲げで材料も伸びます。本番の前に端材で同じ切り欠きを作り、曲げたあとの寸法を測ってから数値を決めてください。
アングルの重量計算や重さの目安を知っておこう
鋼のアングルの重さは「単位質量(kg/m)×長さ(m)」で出せます。30×30×3は1.36kg/mなので、1mで1.36kg、2mで2.72kgです。
単位質量(kg/m)=断面積(cm²)×0.785
例: 30×30×3は 1.727×0.785=約1.36kg/m(規格表の値と一致)
0.785は、鋼の密度7.85g/cm³から出る係数です。外寸600×400mmの枠なら部材の合計は2mなので、30×30×3で約2.72kgになります。
アルミは比重を2.7として計算します。角に丸みのない30×30×3(断面積171mm²)なら約0.46kg/mで、同じ寸法の鋼のおよそ3分の1です。
壁や天井に取り付ける場合は、枠の重さに載せる物の重さを足し、金具やアンカーの許容荷重をメーカーの表示で確認してください。
アングル45度カット寸法の計算と加工の実践テクニック


計算は引き算1つで済みますが、切る工程では工具の取扱説明書で禁止されている使い方があります。寸法の出し方と合わせて、道具ごとの条件を確認してください。
ここからは、計算式・切断時の注意・仕上げ・確認の順に進めます。
基本的な計算方法
両端を45度に切る部材は、短い側=長い側−辺の幅A×2です。45度の切り口は、幅Aを横切る間に長さ方向にもAだけ進むため、片側でA、両端で2Aの差になります。
外寸基準: 短い側=外寸−A×2
内寸基準: 長い側=内寸+A×2
立てた辺どうしの内のり=外寸−t×2
| 辺の幅A | 片側の差 | 両端の差 | 外寸300mmのときの短い側 |
|---|---|---|---|
| 20mm | 20mm | 40mm | 260mm |
| 25mm | 25mm | 50mm | 250mm |
| 30mm | 30mm | 60mm | 240mm |
| 40mm | 40mm | 80mm | 220mm |
| 50mm | 50mm | 100mm | 200mm |
厚さtが効くのは、立てた辺の内側に物を落とし込む場合です。30×30×3で外寸300mmの枠なら、立てた辺どうしの内のりは300−3×2=294mmになります。
1本の長い材料から続けて切り出すときは、切るたびに砥石の厚さ分が切りくずになります。部材ごとにけがき直し、線の捨てる側を切ってください。
グラインダーで行う際の注意点
ディスクグラインダーで切るときは、切断砥石と切断砥石用のホイールカバーに付け替え、材料をクランプか万力で固定して、けがき線に沿ってまっすぐ切ります。マキタのディスクグラインダ(9533ほか)の取扱説明書には、次の警告があります。
⚠️ 注意
「ジグザグ切断、曲面切り、(ガイドを使わない)斜め切り、コジリ、側面使用は絶対にしないでください」
切断砥石以外の砥石で切断作業をしない。切断砥石を使うときは、必ず切断砥石用のホイールカバーを取り付ける。
作業時は常に保護メガネを使い、粉じんの多い作業では防じんマスクを併用する。軍手などの布製の手袋は使用しない。
研削粉は火花となって飛ぶので、引火しやすいものを遠ざける。
国民生活センターも2025年4月23日に「電動工具の事故に注意!」を公表し、適切な保護具の着用、材料の固定、使用前の試運転を呼びかけています。
仕事で使う場合は法令の対象です。労働安全衛生規則は、研削といしの取替えと試運転を特別教育の対象とし(第36条)、作業開始前に1分間以上、取替え後に3分間以上の試運転を事業者に義務付けています(第118条)。
アングル45度カットをきれいに仕上げるコツ

切ったあとにバリを落とし、2本を突き合わせて直角を確かめてから固定すると、角の隙間を減らせます。仕上がりが悪いときの原因と対策は次のとおりです。
| よくある失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 角に隙間ができる | 2本の切り口の角度を足しても90度になっていない | スコヤを当てて、先に当たっている側をヤスリで削る |
| 部材が短くなった | けがき線の上を切り、砥石の厚さ分だけ短くなった | 線の捨てる側を切り、線を残す |
| 枠がゆがむ | 向かい合う2本の長さが違う | 対になる部材を重ねて長さを揃え、組んだあと対角線2本の長さを比べる |
| 切り口がさびる | 鋼の切り口は素地が出ている | 粉じんと油分を拭き取り、錆止めを塗る |
対角線2本の長さが同じなら、枠は直角に組めています。固定や溶接は、この確認のあとに行ってください。
カットに便利な治具やツール紹介
45度の角度切断には、材料をバイスで固定して切る切断機が向いています。マキタの355mm切断機 LW1401 は、取扱説明書でガイドプレートを0~45°に調整できるとしています。
| 道具 | 用途 | 取扱説明書などで確認できる条件 |
|---|---|---|
| 切断機(例: マキタ LW1401) | 45度の角度切断 | L形鋼の切断能力は90°で137mm、45°で100mm。砥石は外径355mm×厚さ3.5mm以下 |
| ディスクグラインダー(例: マキタ 9533) | まっすぐな切断・バリ取り | 砥石外径100mm。切断は切断砥石と専用カバーで行い、ガイドを使わない斜め切りはしない |
| スコヤ・45度定規 | けがきと直角の確認 | ― |
| けがき針 | 細い線を引く | ― |
| クランプ・万力 | 材料の固定 | 手で持つより安全で、両手で電動工具を使える(マキタの取扱説明書) |
| 金属用ヤスリ | バリ取り・角度の微調整 | ― |
切断機でも、バイスでしっかり固定できない角度での切断は禁止されています。短い材料や小さいアングルは、固定できるかを先に確かめてください。
アングルの45度カット寸法を間違えないためのチェック方法
切る前に「長い側−短い側=辺の幅×2」になっているかを検算すると、寸法の取り違えを防げます。30×30のアングルなら、差は60mmです。
● 基準が外寸か内寸かを、図に書き込んだか
● 手元の材料の辺の幅と厚さを、ノギスで測ったか
● 長い側と短い側の差が、辺の幅×2になっているか
● けがき線の捨てる側に印を付けたか
● 組んだあと、対角線2本の長さを比べたか
誤差は積み重なります。1か所で0.5mm短く切ると、4辺の枠では最大2mmのずれになるため、対になる部材は重ねて同じ長さに揃えてください。
まとめ:アングル45度カット寸法を正確に出すための計算と加工手順

アングルの45度カット寸法は、基準を決めて「辺の幅×2」を足し引きすれば出せます。
● 短い側=長い側−辺の幅×2(30×30なら60mm)
● 立てた辺どうしの内のりは、外寸−厚さ×2
● 切り欠きのV字は、深さがA−t、開き幅がその2倍
● グラインダーは切断砥石と専用カバーを使い、ガイドなしの斜め切りはしない
まず端材で1か所だけ切って突き合わせ、角度と長さを確かめてから本番の材料に進んでください。
📚 参考文献・出典
・JFEスチール – 山形鋼(アングル)形状寸法・断面性能1[等辺山形鋼](PDF)
・マキタ – ディスクグラインダ 9533ほか 取扱説明書(PDF)
・マキタ – 355mm切断機 LW1401 取扱説明書(PDF)
・e-Gov法令検索 – 労働安全衛生規則(第36条・第118条)
※ 寸法・質量・安全上の注意は、上記のメーカー資料と公的ページの記載をもとにしています。計算式は幾何計算によるものです。


