電気工事士の副業は、雇われて働くか、自分で請け負うかで必要な手続きが変わります。法律と公的な数字をもとに、始め方と注意点を整理します。

電気工事士の資格があれば副業できると聞いたのですが、会社にバレたりしませんか?

副業を一律に禁じる法律はありませんが、就業規則と電気工事業法の登録は別に確認が必要です。住民税の扱いも、副業が給与か請負かで変わります。
📌 この記事でわかること
● アルバイトと個人受注で、必要な資格・登録がどう違うか
● 第二種電気工事士でできる工事・できない工事の線引き
● 確定申告と住民税の扱い、労働時間の通算ルール
● 離職率・労務単価など、公的な数字で見る仕事の実態
電気工事士は副業は可能?基礎知識と向き不向き・注意点


副業の可否は、会社のルール、資格の範囲、電気工事業の登録の3つで決まります。順番に確認すれば、やってよい働き方ははっきりします。
まずは働き方の種類ごとに、何が必要になるかを見ていきます。
副業はどんな働き方がある?定番パターンを整理
働き方は「雇われる」「請け負う」「工事をしない仕事」の3つに分かれます。違いは、電気工事業の登録が自分に必要かどうかです。
| 働き方 | 契約の形 | 電気工事業の登録 | 労働時間の通算 |
|---|---|---|---|
| 現場アルバイト | 雇用 | 雇う側の業者が登録していればよい | 本業と通算される |
| 個人で受注・下請け | 請負 | 自分の登録が必要 | 通算されない |
| 見積もり補助・執筆など | 業務委託 | 工事をしないので対象外 | 通算されない |
登録について、電気工事業法 第22条は、電気工事業者が請け負った工事を「電気工事業者でない者」に請け負わせることを禁じています。知り合いの業者から仕事をもらう場合も、請負なら自分の登録が前提です。
労働時間の列は、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の整理です。フリーランスや独立など労働基準法が適用されない働き方は、通算の対象になりません。
電気工事士は副業できる?会社規定・資格・法令で気をつける点
副業そのものを禁じる法律はなく、確認するのは就業規則・労働時間・税金の3点です。厚生労働省のガイドラインは、裁判例をもとに、会社が副業を制限できる場合を4つ挙げています。
● 労務提供上の支障がある場合
● 業務上の秘密が漏洩する場合
● 競業により自社の利益が害される場合
● 自社の名誉や信用を損なう行為、信頼関係を破壊する行為がある場合
本業が電気工事会社なら、同業での副業は3つ目の「競業」に当たらないかを先に確認します。届出制か許可制かは会社ごとに違うため、就業規則の副業の条文を読んでください。
| 項目 | ルール | 出どころ |
|---|---|---|
| 確定申告 | 給与を1か所から受け、給与以外の所得の合計が20万円を超える人は必要 | 国税庁 No.1900 |
| 確定申告(アルバイトの場合) | 年末調整されなかった給与の収入と、ほかの所得の合計が20万円を超える人は必要 | 国税庁 No.1900 |
| 住民税 | 給与以外の所得にかかる分は「自分で納付」を選べる。給与所得だけの人は選べない | 国税庁 確定申告書等作成コーナー |
副業がアルバイト(給与)の場合、住民税の納め方を自分で選ぶことは原則できません。「普通徴収にすれば会社に知られない」という方法は、請負や業務委託の所得に限った話です。
個人で請け負う場合の注意:登録電気工事業者について
電気工事業を営むには、営業所のある都道府県の知事(2つ以上の都道府県に営業所を置く場合は経済産業大臣)の登録が必要で、有効期間は5年です。経済産業省は、ここでいう「業」を、有償・無償に関係なく、依頼を受けて電気工事を反復・継続して行う場合と説明しています。
| 登録電気工事業者の義務 | 内容 |
|---|---|
| 主任電気工事士 | 営業所ごとに置く。第一種電気工事士か、免状取得後3年以上の実務経験がある第二種電気工事士 |
| 器具の備え付け | 絶縁抵抗計など省令で定める器具を営業所ごとに備える |
| 標識・帳簿 | 営業所と施工場所に標識を掲げ、帳簿を備えて保存する |
⚠️ 注意
登録を受けずに電気工事業を営むと、1年以下の拘禁刑もしくは10万円以下の罰金、またはその両方の対象になります(電気工事業法 第36条)。
「休日に知人の家だけ」「お礼はもらわない」でも、繰り返し引き受ければ「業」に当たります。
📎 参考: 経済産業省 電気工事の安全
副業は何から始める?できる範囲と現実的な案件

最初の一歩は、登録電気工事業者にアルバイトとして雇われる形です。登録・器具・帳簿は雇う側が整えているため、自分は資格の範囲で作業に集中できます。
始める前の3ステップ
| 順番 | やること | 確認するもの |
|---|---|---|
| 1 | 本業の就業規則で、副業の届出・許可の要否を確認する | 就業規則 |
| 2 | 応募先が登録電気工事業者かを確認する | 営業所の標識(登録番号) |
| 3 | 雇用か請負かを書面で確認する | 労働条件通知書・契約書 |
標識の掲示は電気工事業法 第25条で業者に義務づけられているため、登録の有無は営業所や現場で確かめられます。
3の区別は、登録の要否と労働時間の通算の両方に関わります。「業務委託」と呼ばれていても、工事を請け負う形なら自分に登録が必要です。
第二種の免状を取ってから実務が3年に満たない人は、自分が主任電気工事士になれません。ひとりで登録して受注する形は、まだ選べない段階です。
電気工事士2種を活かせる仕事は?副業で狙いやすい業務例
第二種電気工事士が従事できるのは、一般用電気工作物等の電気工事です。経済産業省は、一般用電気工作物等を「一般家庭、商店等の屋内配電設備、小規模発電設備等」と説明しています。
| 作業の例 | 資格 | 根拠 |
|---|---|---|
| 住宅・商店のコンセントやスイッチの取り付け、電線の接続 | 第二種(または第一種)が必要 | 電気工事士法 第3条第2項、施行規則 第2条 |
| ビル・工場など自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の工事 | 第一種。簡易電気工事は認定電気工事従事者も可 | 電気工事士法 第3条第1項・第4項 |
| 600V以下の差込み接続器やソケットにコードを接続する工事 | 資格不要(軽微な工事) | 電気工事士法施行令 第1条 |
| インターホンなどの小型変圧器(二次電圧36V以下)の二次側の配線 | 資格不要(軽微な工事) | 電気工事士法施行令 第1条 |
副業で入りやすいのは、1行目の住宅・小規模店舗の作業です。2行目の現場に第二種だけで入ると、資格の範囲を超えます。
⚠️ 注意
資格の範囲を超えた作業に従事すると、3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金の対象です(電気工事士法 第14条)。
作業中は電気工事士免状の携帯も義務です(同 第5条第2項)。副業の現場にも免状を持参してください。
電気工事士の離職率は?きついと言われる理由と続けるコツ
電気工事士だけの離職率を示す公的統計は確認できませんでしたが、建設業全体の離職率は8.7%です(厚生労働省 令和7年雇用動向調査)。産業計の13.7%より低い水準です。
| 区分 | 入職率 | 離職率 |
|---|---|---|
| 建設業 | 10.4% | 8.7% |
| 産業計 | 14.7% | 13.7% |
数字の上では「人がすぐ辞める業界」とは言い切れません。副業できつくなるのは、本業と合わせた労働時間が長くなる場合です。
アルバイトとして働く場合、労働基準法 第38条により本業と副業の労働時間は通算されます。厚生労働省のガイドラインも、通算して法定労働時間を超えるなら長時間の時間外労働にならないようにすることが望ましいとしています。
● 副業に入る日と時間の上限を、月単位で先に決める
● 本業の繁忙期は副業を入れない
● 高所や通電に関わる作業の前日は、睡眠時間を削らない
📎 参考: 厚生労働省 令和7年雇用動向調査結果の概要
電気工事士2種は役に立たないって本当?活かせない原因を分解
役に立たないのではなく、資格だけではできない範囲が3つあるというのが実態です。どれも法律で決まっている線引きです。
| つまずく点 | 理由 | 対応 |
|---|---|---|
| ビルや工場の仕事に入れない | 自家用電気工作物は第一種の範囲 | 第一種か認定電気工事従事者を目指す |
| 個人で受注できない | 電気工事業の登録と主任電気工事士(第二種は実務3年以上)が必要 | 登録業者のもとで実務経験を積む |
| 保安・点検の仕事ができない | 電気主任技術者は別の資格 | 後半の章を参照 |
第二種の受験手数料は、インターネット申込みで11,100円、郵送申込みで12,500円です(電気技術者試験センター)。取得後は、住宅・商店の工事で実務を3年積むことが、個人受注への最短の道になります。
📎 参考: 電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験
電気工事士の副業の探し方と稼ぎ方:在宅・アルバイト・バイト比較


在宅・アルバイト・電気主任技術者の仕事は、必要な資格と契約の形がそれぞれ違います。収入の目安は、公表されている単価をもとに見ていきます。
求人を見るときは、時給や日当より先に「雇用か請負か」を確認してください。
在宅はできる?現場以外で収入につながる仕事
在宅でできるのは、電気工事そのものではない仕事です。見積もりの数量拾い、図面のチェック、資格学習の指導、記事の執筆や監修などが当たります。
| 項目 | 在宅の業務委託 | 現場アルバイト |
|---|---|---|
| 電気工事士の資格 | 法律上は不要(工事をしないため) | 作業内容に応じて必要 |
| 電気工事業の登録 | 不要 | 雇う側の業者が登録 |
| 労働時間の通算 | されない | される |
| 住民税の納め方 | 「自分で納付」を選べる | 原則として給与から天引き |
報酬は発注者ごとに決まり、公的な相場は確認できませんでした。所得(収入から経費を引いた額)が年20万円を超えると、確定申告が必要になります。
通算されないといっても、ガイドラインは就業時間が長くなりすぎないよう配慮することが望ましいとしています。納期と本業の繁忙期が重ならないかを先に確認しましょう。
アルバイトの探し方:単発・夜間・土日の選び方
探すときは、求人票で「雇用契約か」「登録電気工事業者か」の2点を先に見ます。条件ごとの注意点は次のとおりです。
| 形態 | 確認すること | 法律上のポイント |
|---|---|---|
| 単発 | 作業内容が第二種の範囲か | 現場でも免状の携帯が必要 |
| 夜間 | 深夜の割増があるか | 午後10時~午前5時の労働は2割5分以上の割増賃金(労働基準法 第37条) |
| 土日 | 本業と合わせた週の労働時間 | 事業場が違っても労働時間は通算(同 第38条) |
日当を比べる物差しとして、国土交通省の公共工事設計労務単価があります。令和8年3月から適用の「電工」は、8時間当たりで東京都34,300円、北海道29,100円です。
この単価は公共工事の積算に使う金額で、時間外・深夜の割増や会社の経費は含みません。アルバイトの日当がそのままこの額になるわけではない点に注意してください。
電気主任技術者バイトはどんな内容?電気工事士との違いも解説
電気主任技術者の仕事は工事ではなく、設備の保安の監督です。電気工事士の免状では就けません。
| 項目 | 電気工事士 | 電気主任技術者 |
|---|---|---|
| 役割 | 電気工事の作業に従事する | 事業用電気工作物の工事・維持・運用に関する保安の監督 |
| 根拠法 | 電気工事士法 | 電気事業法 第43条 |
| 選ぶ人 | 電気工事業者が雇う・依頼する | 設備を設置する者が免状を持つ人から選任する |
電気事業法施行規則 第52条は、主任技術者に2つ以上の事業場を兼ねさせることを原則として禁じ、例外には経済産業大臣(または産業保安監督部長)の承認を求めています。「空いた日に何件か掛け持ちする」働き方が、自由にできる仕組みではありません。
求人で「電気主任技術者 バイト」とある場合は、選任される立場なのか、点検の補助なのかを確認してください。必要な免状と責任の範囲が変わります。
📎 参考: e-Gov法令検索 電気事業法
電気管理技術者の年収はどれくらい?副業で伸ばす現実的なルート

電気管理技術者だけの年収を示す公的統計は確認できませんでした。分かっているのは、なるための要件です。
電気管理技術者は、保安管理業務を外部委託で受ける個人事業者を指します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 対象の設備 | 電圧7,000V以下で受電する需要設備など |
| 資格 | 電気主任技術者免状の交付を受けていること |
| 実務経験 | 第1種は3年、第2種は4年、第3種は5年以上。保安管理業務講習を修了した第2種・第3種は3年以上 |
| その他 | 告示で定める機械器具を持つこと。受け持てる事業場の数には算定上の上限がある |
実務経験の年数は関東東北産業保安監督部の案内、そのほかは電気事業法施行規則 第52条・第52条の2の内容です。電気工事士の実務とは別に、免状と保安管理の経験が求められます。
収入は受け持つ事業場の数と契約額で決まるため、年収の数字だけを見て目指すのは危険です。電気主任技術者の免状を取り、実務経験の数え方を監督部に確認するところが出発点になります。
「電気工事士やめとけ」2chで見かける不安は本当?よくある落とし穴
掲示板の不安のうち、公的な数字や法律で確かめられるものは一部です。確かめられる範囲を表にしました。
| よくある不安 | 確認できること |
|---|---|
| 人がすぐ辞める | 建設業の離職率は8.7%で、産業計13.7%より低い(令和7年) |
| 休みがなくなる | アルバイトは本業と労働時間が通算される。請負は通算されず、自己管理になる |
| 資格があっても個人で稼げない | 第二種は実務3年以上で主任電気工事士になれる。登録の有効期間は5年 |
| 頼まれ仕事でトラブルになる | 無償でも繰り返せば「業」に当たり、無登録は罰則の対象 |
副業で実際に落とし穴になるのは、4行目の「知人からの頼まれ仕事」です。登録のない個人が繰り返し引き受けると、善意でも法律違反になります。
給料や人間関係についての書き込みは、会社や現場によって事情が違い、公的な数字では確かめられません。応募先ごとに、契約の形と作業内容を書面で確認するのが現実的な対策です。
後悔しやすい人の共通点と、後悔しないための対策
後悔につながるのは、契約の形・資格の範囲・税金の3つを確認しないまま始めることです。始める前に、次の表を上から確認してください。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 就業規則 | 副業の届出・許可の要否、同業での副業の扱い |
| 契約の形 | 雇用か請負か。請負なら自分の登録が必要 |
| 応募先 | 登録電気工事業者の標識(登録番号)があるか |
| 資格の範囲 | 現場が一般用電気工作物等か。免状を携帯しているか |
| 労働時間 | 本業と合わせた週の時間。月の上限を決めたか |
| 税金 | 20万円を超えるなら確定申告。住民税の納め方を選べる所得か |
6項目のうち、答えられないものが1つでもあれば、その確認を先に済ませましょう。
まとめ:【電気工事士】副業を安全に始めて、無理なく収入を伸ばす方法
電気工事士の副業は、登録電気工事業者に雇われる形から始めるのが、法律の面でも安全です。
● 副業を禁じる法律はないが、就業規則と同業での副業の扱いを確認する
● 請負で受けるなら電気工事業の登録が必要。第二種は実務3年以上で主任電気工事士になれる
● 第二種の範囲は一般用電気工作物等。免状は現場に携帯する
● アルバイトは労働時間が通算され、住民税は原則として給与から天引きになる
まずは就業規則を読み、応募先の登録と契約の形を書面で確認するところから始めてください。
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📚 参考文献・出典
・e-Gov法令検索 – 電気工事業の業務の適正化に関する法律
・厚生労働省 – 副業・兼業(副業・兼業の促進に関するガイドライン)
※ 本記事は上記の公的機関・公式サイトの公表情報をもとに作成しています。

