四角軸(コッタレス)のクランクは、固定ボルトを外しても抜けない構造です。工具なしで試せる範囲と、工具を買う・店に頼む場合の費用を整理しました。

自転車のクランク、専用工具がないと絶対に外せないんですか?代わりに使えるものってありますか?

ママチャリに多い四角軸のクランクは、コッタレス抜きという専用工具がないと抜けません。叩いて外す方法はクランクを傷めるので、工具の価格と店の工賃を比べて決めるのがおすすめです。
📌 この記事でわかること
● クランクを外すのに必要な工具と、その規格・価格
● 工具なしで叩いて外すと何が起きるか
● 自転車店に頼んだ場合の工賃の目安
● クランク・ペダル・BBで外し方がどう違うか
自転車クランクの外し方、工具なしで行う前に知っておく基礎知識


まずは自分の自転車のクランクがどの方式か、外すのに何が要るかを確認します。ここを間違えると、工具を買い直すことになります。
ママチャリや入門スポーツ車の多くは、四角い軸にクランクをはめ込む「四角軸(スクエアテーパー)」です。軸の規格ごとに使う工具が変わります。
クランク外しに使う工具とは?
四角軸クランクを外すには、「コッタレス抜き(クランクプーラー)」という専用工具が必要です。クランクのねじ穴に工具をねじ込み、内側のピンで軸を押してクランクを引き抜く仕組みです。
下の表は、自転車部品メーカーのシマノと、自転車工具メーカーのホーザンの製品です。
| 工具 | 規格・サイズ | 価格の目安 | 出どころ |
|---|---|---|---|
| シマノ TL-FC10(コッタレス抜き) | 14mm固定ボルト付きのスクエアBB用。内部プーラーは15mmレンチ・14mm、または8mm六角レンチで回す | 2,320円(税込・自転車通販ワイズロード オンラインの表示。全店舗で在庫切れの表示あり) | 自転車用品の㈱サギサカの商品ページ/ワイズロード オンライン |
| ホーザン CCP-22(コッタレスクランクプーラー) | 角型BBシャフト用。クランクネジM22×1.0に対応(TA等一部のクランクは使用不可) | 公式ページに価格の記載なし | ホーザン公式 |
| ホーザン CCP-44 | オクタリンク・ISIS規格用(四角軸用ではない) | 公式ページに価格の記載なし | ホーザン公式 |
ほかに固定ボルトを外すレンチも必要です。軸がオクタリンク(シマノの溝付き軸の規格)など四角軸以外なら別の型番になるため、買う前に軸の形を確認してください。
工具なしで行うのは危険?
工具なしでクランクを叩いて外す方法は、おすすめしません。四角軸はテーパー(先細り)の軸にクランクを押し込んで固定しているため、叩いても抜けにくく、先にクランクやねじ山が傷みます。
⚠️ 注意
ハンマーで直接叩く・こじるのはやめてください。クランクの変形やひび割れの原因になります。
自転車メーカーのブリヂストンサイクルは点検項目として「ギヤクランクにまがり・ひび割れが入っていないか」を挙げ、異常があれば乗らずに販売店へ相談するよう案内しています。
外した後に組み直す場合も、締め付けが不十分だと走行中の緩みにつながります。
工具がない場合は、コッタレス抜きを買うか自転車店に頼むかの2択です。費用の比較は後半の「クランク交換の費用」で紹介します。
クランク交換を考えるタイミング

ペダル部分のガタつき、クランクのまがり・ひび割れが見つかったら、交換や点検を考えるタイミングです。どちらもメーカーや公的機関が点検項目として挙げている症状です。
| 症状 | 確認のしかた | 対応 |
|---|---|---|
| ペダルのガタつき | ペダルに上下左右に力を加えてガタがないか見る(ブリヂストンサイクルの点検項目) | ペダルの緩みか、クランク・BBのガタかを切り分ける |
| クランクのまがり・ひび割れ | クランクを目で見て、まがり・ひびがないか確認する | 乗らずに販売店へ相談(交換が前提) |
| こぐと異音がする | ペダルを手で回し、ゴリゴリ・カタカタしないか確認する | BBのガタ・ベアリングの傷みも疑う |
NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2019年から2024年までの6年間に自転車の製品事故は約500件あり、約8割が重傷事故でした。NITEは、乗車前に車輪やハンドルまわり、ペダルに緩みやがたつきがないか確認するよう呼びかけています。
自転車のクランクが抜けない原因と対処法
クランクが抜けないときは、軸とクランクの固着か、工具の使い方の誤りを疑います。当てはまるものを下の表で確認してください。
| よくある失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| コッタレス抜きを回してもクランクが動かない | 軸とクランクがサビで固着している | 浸透潤滑剤を合わせ目に吹き、時間を置いてから再度回す |
| 工具をねじ込むとクランク側のねじ山が崩れた | 工具のねじ込みが浅い・斜め | 工具を手で奥まで真っすぐねじ込んでから回す |
| 固定ボルトを外し忘れたまま工具を回した | 手順の誤り | 固定ボルト(とワッシャー)を先に外す |
| 工具が合わない | 軸がオクタリンク等で四角軸用の工具を使っている | 軸の形に合った型番の工具に替える |
浸透潤滑剤の例として、呉工業の「KURE 5-56」は自転車を含む金属部分の防錆・潤滑・清浄に使う製品です。同社のQ&Aでは、劣化や変色のおそれがあるため金属以外には使わず、塗装面にも使えないとしています。
ペダルとクランクの外し方の違い
ペダルはクランクにねじ込まれているだけなので、レンチで回せば外れます。一方、四角軸クランクは軸に押し込まれているため、固定ボルトを外した後に専用工具で引き抜く必要があります。
| 項目 | ペダル | 四角軸クランク |
|---|---|---|
| 固定方法 | クランクにねじ込み | テーパー軸に押し込み+固定ボルト |
| 外す工具 | ペダルレンチ(ホーザンPW-3は口部15mm・9/16インチ)、または軸の六角穴に合う六角レンチ | ボルト用レンチ+コッタレス抜き |
| ねじの向き | 右は順ネジ(左に回すと緩む)、左は逆ネジ(右に回すと緩む) | 固定ボルトは通常のねじ |
| 店の工賃(自転車店チェーン「サイクルベースあさひ」・税込) | ペダル交換(左右セット)1,760円 | シティサイクル右クランク交換4,290円 |
ホーザンのペダル着脱の手順では、外すペダルの反対側のクランクを固定してから回し、取り付けるときはネジ山にグリスを塗って最初は手で締め込むよう案内しています。いきなり工具で締めると、ネジ山をなめるおそれがあるためです。
【自転車クランク外し方】工具なしで実践!安全な方法と代替アイテム


ここからは実際の手順です。代用品で無理に外すとクランク側のねじ山を傷めるため、コッタレス抜きを用意して正しい順番で作業します。
ママチャリの右クランクにはギヤが付いているため、チェーンを外してから作業します。
ママチャリのクランク交換を自分で行う方法
手順は「ペダルを外す→固定ボルトを外す→コッタレス抜きで抜く→新しいクランクを付ける」の順です。自転車はスタンドを立て、倒れないように壁などで支えてから始めます。
1. ペダルの取り外し
ペダルレンチで外します。左ペダルは逆ネジのため、右に回すと緩みます。
2. クランクボルトの緩め方
キャップがあれば外し、中の固定ボルト(フィキシングボルト)をサイズの合うレンチで緩めます。ホーザンの手順によると、このボルトは左右とも正ネジ(反時計回りで緩む)です。
3. 固着しているクランクの外し方
コッタレス抜きをクランクのねじ穴に手で奥までねじ込み、ハンドル(内側のプーラー)を時計回りに回して軸を押し出します。クランク側のネジはなめやすいため、無理にねじ込まないようホーザンは注意しています。
動かない場合は浸透潤滑剤を合わせ目に吹いて時間を置き、それでも抜けなければ店に任せます。
4. 新しいクランクの取り付け
軸の汚れとサビを拭き取り、クランクを差し込みます。固定ボルトのネジ山にグリスを塗って手で締め込み、レンチで締めます(トルクはクランクの取扱説明書の指定値)。
最後にペダルを手で回し、ガタや異音がないか確認してください。
クランク交換の費用はどのくらい?
サイクルベースあさひの工賃は、シティサイクルの右クランク交換が4,290円、左クランク交換が2,530円(税込・部品代別)です。作業時間の目安は右が30分~、左が20分~です。
| 方法 | 費用 | 内容・条件 |
|---|---|---|
| 自転車店(あさひ)に依頼:シティサイクル | 右クランク4,290円/左クランク2,530円(税込) | 部品代は別途 |
| 自転車店(あさひ)に依頼:スポーツ車 | クランク(片側)交換2,530円(税込) | 部品代は別途。BBシャフト一体型(ホローテックⅡなど)は6,160円 |
| 自分で交換 | コッタレス抜き TL-FC10 2,320円(税込・ワイズロード オンライン)+クランク代 | 固定ボルト用のレンチも必要 |
コッタレス抜き(2,320円)とあさひの右クランク交換工賃(4,290円)の差は1,970円です。BBの不具合も疑われる場合は、あさひのシティサイクル「BB全交換、ベアリング交換」が9,460円(税込・部品代別、一般車のカートリッジBB交換は7,260円)なので、まとめて店で見てもらう方が確実です。
クランクアームを交換する際の注意点

新しいクランクは、外したものと同じ軸の規格・同じ長さのものを選びます。四角軸用とオクタリンク用ははまらず、左右で長さが違うとペダルの位置がずれます。
● 軸の規格(四角軸・オクタリンクなど)を外したクランクで確認する
● 右クランクはギヤの歯数も合わせる
● 取り付け前に軸の汚れ・サビを落とす
● 締め付けは取扱説明書の指定トルクで行う
締め付けに不安があるときは店で確認してもらいます。あさひは、自転車安全整備士の資格を持つスタッフによる点検サービスを案内しています。
クランクナットを緩めるコツと手順
クランクの固定ボルト(ナット)は、サイズの合ったソケットレンチかめがねレンチで、柄の長さを足さずに回します。10円玉やペンチでの代用は、ボルトの角を潰す原因になります。
1. 固着している場合の下準備
ボルトの周りに浸透潤滑剤を吹き付け、しばらく置いてから回します。ゴムや樹脂部品、塗装面に付いたらすぐ拭き取ってください。
2. 工具がないときの代替方法
ボルトに合うレンチがない場合は、家庭用品で代用せず工具を用意するか、店に依頼します。
3. 力を加える際の注意点
工具メーカーのKTC(京都機械工具)はスパナの注意事項として、パイプなどを継ぎ足して使わないこと、ハンマーでたたいて衝撃を加えないことを挙げています。体重をかけて回すと、外れた瞬間に手をぶつけたり転倒したりするため、自転車を固定して少しずつ力をかけます。
ボトムブラケットの外し方と確認ポイント
ボトムブラケット(BB)を外すには、BBの種類に合った専用工具が必要です。コインやドライバーを溝に当てて回す方法は、溝や工具が滑ってフレーム側のねじ山を傷めるため避けてください。
1. BBを外す前の準備
BBのねじの向きは規格によって違うため、BBの刻印や自転車の取扱説明書で確認します。左右を逆に回すと締め込んでしまいます。
2. 工具なしでBBを外す方法
工具なしで外す安全な方法はありません。カップが樹脂製の場合、浸透潤滑剤は呉工業が金属以外への使用を避けるよう案内しているので、金属部分だけに使います。
3. BBの状態を確認する
クランクを外した状態で軸を手で回し、ゴリゴリした感触やガタがあれば交換・調整を考えます。あさひのシティサイクルの工賃は、BBガタ調整が1,760円(税込)です。
店でクランクの脱着もしてもらう場合は、右クランクで3,300円、左クランクで1,650円(いずれも税込)が加算されます。
4. 再組み立て時のポイント
ねじ山の汚れを落としてから取り付け、組み立て後はペダルを手で回して異音がないか確認します。
まとめ:自転車クランクの外し方、工具なしで行うときの安全対策とコツ

四角軸のクランクは、工具なしで安全に外す方法がありません。外すと決めたら、次のどちらかを選びます。
● 自分で外す:軸の規格に合うコッタレス抜き(TL-FC10は2,320円・税込)を用意する
● 店に頼む:あさひの右クランク交換はシティサイクルで4,290円(税込・部品代別)
● 叩く・こじる・柄を継ぎ足すは、クランクやボルトを傷めるのでしない
● まがり・ひび割れ・ガタがあれば、乗らずに販売店へ相談する
まずは自分のクランクの軸の形を確認し、工具を買うか店に頼むかを決めてください。
📄 関連記事
📚 参考文献・出典
・サギサカ – SHIMANO コッタレスクランク工具 TL-FC10
・ワイズロード オンライン – SHIMANO TL-FC10
・NITE(製品評価技術基盤機構)- 製品安全情報マガジン「自転車の事故」
※ 料金・価格・仕様は各公式ページの表示をもとに記載しています。最新の内容は各ページで確認してください。


