自転車のスプレー塗装は、下地処理と塗り重ねの間隔を守れるかで仕上がりが変わります。塗料メーカー公式の使用方法と、専門店が公開している料金をもとに手順をまとめました。

自転車を自分でスプレー塗装したいんですが、失敗してムラだらけになりそうで不安です。初心者が特に気をつけるべきポイントって何ですか?

最初にやるのは、塗る面の油分とサビを落とす下地処理です。色は一度に厚塗りせず、缶に書かれた間隔(ソフト99のボデーペンなら10分ほど)をあけて数回に分けてください。
📌 この記事でわかること
● キズ・サビの状態ごとの下地処理と、サンドペーパーの番手
● フレーム素材(鉄・アルミ・カーボン)で変わる下塗りの選び方
● メーカー公式のスプレー距離・塗り重ね間隔・乾燥の目安
● 専門店にフレーム塗装を頼む料金と、あさひの工賃表の扱い
自転車を塗装する前に知るべき基礎知識と準備ポイント


スプレーを吹く前に「どこまで塗るか」「フレームの素材は何か」「キズやサビはどの程度か」を決めます。この3つで、買う下塗り剤と作業の量が決まります。
ここでは、塗る前に決めることと、塗料・道具の選び方を順に確認します。
自転車を塗装する前に決めたい範囲と仕上がりイメージ
最初に決めるのは、「部分補修か、フレーム全体か」と「ソリッド・メタリック・ツヤ消しのどれで仕上げるか」の2点です。範囲で養生の量が、色の種類でクリアーの要否が変わります。
| 決めること | 選択肢 | 変わる作業 |
|---|---|---|
| 塗る範囲 | キズのまわりだけ/フレーム全体 | 塗料がついては困る部分を、外すかマスキングテープで覆う量 |
| 色の種類 | ソリッド/メタリック/パール | メタリック・パールは、仕上げにクリアーを重ねる |
| ツヤ | ツヤあり/ツヤ消し | 選ぶカラースプレーの種類(アスペンラッカースプレーは両方を用意) |
フレーム全体を塗るときは、後ろの反射板を外したままにしたり、塗りつぶしたりしないでください。道路交通法では、夜間は尾灯をつけるか、後方100メートルから前照灯の反射光を確認できる反射器材を備える決まりです。
補修はどこまで可能?剥がれ・キズの判断基準
金属が見えていない浅いキズはそのまま補修でき、サビや鉄板の露出がある場合も、サビ落としと下塗りを足せばDIYで対応できます。フレームにひび(クラック)や変形があるときは、塗装より先に自転車店で強度を見てもらってください。
| キズ・サビの状態 | 下地処理 | サンドペーパーの番手 |
|---|---|---|
| 表面だけのキズ・色あせ | 全面を軽く磨き、うすめ液を含ませた布で拭き取る | #240~#320 |
| はがれかかった塗料がある | 皮スキ・スクレーパー・サンドペーパーで取り除く | #80~#240 |
| 赤サビ・白サビが出ている | ワイヤーブラシで落としてから磨き、鉄にはサビドメを下塗りする | #80~#320 |
| へこみがある | パテで埋め、乾いたら耐水ペーパーで平らにする | #280~#320 |
番手は、アサヒペン公式のスプレー塗装手順(金属の場合)に載っている数字です。鉄板が露出した部分には、ソフト99「ボデーペン プラサフ」のような防錆効果のある下塗り剤を先に塗ります。
スプレーの基本と向いている素材は?
スプレーの基本は、よく振る・一定の距離で平行に動かす・厚塗りせず数回に分けるの3つです。素材は鉄系(スチール・クロモリ)とアルミで下塗りが変わります。
| フレーム素材 | 下塗り | 根拠 |
|---|---|---|
| 鉄(スチール・クロモリ) | サビドメ、またはプラサフ | アサヒペン「鉄の場合はサビドメを塗装」 |
| アルミ | 非鉄金属用のメタルプライマー、またはミッチャクロンマルチ(容量は420ml・3.7L・16L) | アサヒペン「非鉄金属はメタルプライマーを下塗り」。ミッチャクロンマルチはアルミ・ステンレス・亜鉛メッキなどが対応素材 |
| カーボン | 専門店に相談 | 今回確認した塗料メーカーの公式ページに、カーボンフレームの塗装手順は載っていません |
アサヒペンは、容器を振ってカラカラと音がしてからさらに30秒ほど振り、塗装中も時々振るよう案内しています。ミッチャクロンは、塗った翌日以降に上塗りするとホコリや夜露で密着不良を起こす場合があるため、メーカーは勧めていません。
⚠️ 注意
スプレー缶には可燃ガスと有機溶剤が入っています。火気のある所では使わず、なるべく風のない屋外で、塗装中・乾燥中とも換気してください。
NITE(製品評価技術基盤機構)は、石油ファンヒーターの前に置いたスプレー缶が熱で破裂し、噴き出たガスに引火した事故例を公表しています。
おすすめはどれ?用途別の選び方

色数で選ぶなら車のボディ補修用スプレー、用途に「自転車」と書かれた塗料を選ぶならアサヒペンのアスペンラッカースプレーが候補です。どれを選んでも、缶の使用方法に書かれた距離と間隔を守って重ねます。
| 役割 | 製品例 | 公式の使用方法(要点) |
|---|---|---|
| 下塗り | ソフト99 ボデーペン プラサフ(300ml・カインズ公式通販の表示で税込980円) | 約15~25cm離す。塗り重ねは10分ほどあける |
| カラー | ソフト99 ボデーペン ソリッド(300ml) | 約15~20cm離し、やや薄めに数回。塗り重ねは10分ほどあける |
| カラー | アサヒペン アスペンラッカースプレー(300ml・420ml) | 用途に自転車の記載あり。標準2回塗り。乾燥は夏期20~30分・冬期40~60分 |
| 仕上げ | ソフト99 ボデーペン クリアー(300ml) | カラー完了の2~5分後に、3~5回塗り重ねる |
| 仕上げ(強い塗膜) | ソフト99 ボデーペンウレタンクリアー(320ml) | 2液性。金属ピンを押してから12時間が使用期限。1回塗るごとに10分程度乾燥 |
ボデーペンは車のボディ補修用の塗料で、下地の状態によってはハガレやチヂミが起こることがあると注意書きにあります。自転車に使う場合は、目立たない部分で試し塗りをしてから全体に進んでください。
📎 参考: ソフト99 – ボデーペン プラサフ / カインズ – 99工房 ボデーペン プラサフ 300ml / ソフト99 – ボデーペン ソリッド / アサヒペン – アスペンラッカースプレー / ソフト99 – ボデーペンウレタンクリアー
ホームセンターで揃う道具と選び方
そろえる道具は、下地用・養生用・塗料・保護具の4種類です。数量は塗る範囲で変わるため、下の表の規格を目安に選んでください。
| 品名 | 規格・選び方 | 使う場面 |
|---|---|---|
| サンドペーパー・耐水ペーパー | #80~#320(サビ・はがれ)、#240~#320(全体を磨く) | 下地を整える |
| ワイヤーブラシ | 金属用 | サビを落とす |
| ペイントうすめ液と布 | 塗料に合ったうすめ液 | 油汚れと研磨かすを拭き取る |
| マスキングテープ | 塗装用 | 塗料がついては困る部分を覆う |
| 下塗り剤 | 鉄はサビドメかプラサフ、アルミはメタルプライマー | 密着とサビ止め |
| カラー・クリアー | 300mlなどのスプレー缶 | 上塗りと仕上げ |
| マスク・手袋 | 塗装作業用 | ミストの吸い込みと皮膚への付着を防ぐ |
保護具は省かないでください。アサヒペンは、塗装中・乾燥中とも換気をよくし、マスクや手袋を着けてミストを吸い込んだり皮膚に触れたりしないよう案内しています。
100 均アイテムは使える?使えない?賢い活用法
100均でそろえやすいのは、マスキングテープなどの養生用品です。ダイソー公式ネットストアには「塗装用マスキングテープ」(和紙・アクリル系粘着剤、税込110円)が掲載されています。
同商品の説明では、貼る部分のホコリ・油分・水分を拭き取ってから貼り、塗装が終わったら塗料が乾いた状態でなるべく早くはがす使い方です。ネットストアの在庫は変わるため、店頭の在庫は各店舗で確認してください。
| 買う場所 | 品目 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 100均 | マスキングテープ、使い捨て手袋、養生用のシート、外した小物を分けるトレー | 使い捨てにできる補助用品 |
| ホームセンター・カー用品店 | 下塗り剤、カラー、クリアー、耐水ペーパー | 用途と使用方法(距離・間隔)がメーカー公式に載っている製品を選べる |
自転車を塗装する手順とスプレーのやり方、料金比較まで解説


手順は「下地→下塗り→カラー→クリアー」の順です。塗り重ねの間隔は製品ごとに決まっているので、缶の使用方法を手元に置いて進めてください。
ここからは、作業の流れと失敗しやすい点、専門店に頼む場合の料金を順に確認します。
塗装の手順は?下地処理から仕上げまでの流れ
流れは「養生→洗浄・サビ落とし・足付け→下塗り→カラー→クリアー→乾燥」です。数字はソフト99とアサヒペンの公式手順によります。
手順1|分解とマスキング
塗らない部品は外すか、マスキングテープで覆います。作業はなるべく風のない屋外で行い、塗料でまわりを汚さないよう養生します。
手順2|洗浄・サビ落とし・足付け
ゴミ・油分・ワックス・サビを落とし、全面をサンドペーパー(#240~#320)で軽く磨きます。研磨かすは、うすめ液を含ませた布で拭き取ります。
手順3|下塗り
鉄板が出た部分にはプラサフなどの下塗り剤を塗ります。ボデーペン プラサフは約15~25cm離して吹き、塗り重ねは10分ほどあけます。
手順4|カラー
約15~20cm離し、塗る面と平行に動かしながら、やや薄めに数回塗り重ねます。1回ごとに10分ほど時間をあけてください。
手順5|クリアーと乾燥
クリアーはカラー完了の2~5分後に、カラーより広い範囲へ3~5回重ねます。コンパウンドでの磨き仕上げは、1週間以上乾燥させてから行います。
やり方のコツは?ムラ・タレを防ぐ吹き方
ムラとタレを防ぐコツは、距離を一定に保ち、塗る面と平行に動かし、1度に厚塗りしないことです。ソフト99の使用方法でも、数回に分けて10分ほど間隔をあける塗り方が指定されています。
| よくある失敗 | 考えられる原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 色ムラ | 缶の振り方が足りない・距離がばらつく | スプレーするごとによく振り、約15~20cmを保って平行に動かす |
| タレ | 1度に厚塗りした・間隔をあけずに重ねた | やや薄めに塗り、10分ほどあけてから次を重ねる |
| 噴射口の詰まり | 使用後に塗料が残った | 容器を逆さにして2秒ほどカラ吹きし、噴射口を拭く |
| ハガレ・チヂミ | 下地の状態と塗料が合っていない | 目立たない部分で試し塗りをして確かめる |
タレができたときの直し方は、ソフト99の製品ページにあるQ&Aで確認してください。
クリア塗装は必要?ツヤ出しと耐久性を上げるポイント

メタリックやパールの色を塗ったら、仕上げにクリアーを重ねます。ボデーペン クリアーの塗り方は、カラーが終わって2~5分後に、約15~25cm離して3~5回の塗り重ねです。
● ツヤと色の保護を優先する → ボデーペン クリアー(300ml)を3~5回
● ガソリンにも溶けない強い塗膜がほしい → 2液性のボデーペンウレタンクリアー(320ml)。ピンを押してから12時間が使用期限
● ツヤ消しにしたい → ツヤ消しのカラーを選ぶ(アスペンラッカースプレーはツヤあり/ツヤ消しがある)
磨いてツヤを出す場合は、1週間以上乾燥させてからコンパウンドを使います。
📎 参考: ソフト99 – ボデーペン クリアー
フレーム塗装の料金はどれくらい?プロ依頼の相場感
専門店が公開している料金は、フレームとフォークの単色塗装で30,000円から、剥離と調色を含む再塗装で107,800円(税込)からと、作業内容で3倍以上の差があります。完成車のまま預ける場合は、分解と組立の工賃が別にかかります。
| 店 | メニュー | 料金 | 納期 |
|---|---|---|---|
| カンザキバイク(大阪) | フレーム・フォーク 同色・単色 | 30,000円 | 2~3週間 |
| カンザキバイク(大阪) | フレーム・フォーク 同色・メタリック単色 | 40,000円 | 2~3週間 |
| カンザキバイク(大阪) | カーボンフレーム・フォーク 単色 | 50,000円 | 2~3週間 |
| カンザキバイク(大阪) | 完成車の作業工賃(ばらしと組立) | 20,000円~ | ― |
| 山音製輪所 | 再塗装(剥離、調色、塗装) | 107,800円(税込)~ | 2ヶ月~3ヶ月 |
カンザキバイクの料金は同店公式ページの表示です。フレームを送って依頼する場合、同店のロードフレームの送料は本州・四国・九州で3,000円です。
● 剥離やサビ取りが料金に含まれるか
● 分解・組立の工賃と、持ち込む状態(完成車かフレーム単体か)
● 納期と送料
📎 参考: カンザキバイク – フレームペイント / 山音製輪所 – 再塗装価格表
【自転車塗装料金】あさひは高い?持ち込み可否と注意点
サイクルベースあさひの公式の修理工賃表に、フレーム塗装の項目は見当たりません。そのため「あさひの塗装料金」として比べられる公式の金額はなく、色替えは塗装を受けている専門店に見積もりを取ることになります。
工賃表に記載がない作業を頼む場合の基本工賃は、1時間あたり13,200円(税込)です。他店で購入した自転車の修理やパーツの取り付けも受け付けているため、塗装前後の分解・組立を頼めるかは店舗で確認してください。
| 比べる点 | あさひ(公式工賃表) | 塗装の専門店 |
|---|---|---|
| フレーム塗装 | 項目なし | 単色30,000円~(カンザキバイク) |
| 表にない作業 | 1時間13,200円(税込) | 店ごとに見積もり |
| 持ち込み | 他店購入車の修理・パーツ取り付けを受付 | フレーム単体を送って依頼できる店がある |
📎 参考: サイクルベースあさひ – 自転車修理工賃
まとめ:自転車を塗装する際に失敗しないためのチェックポイント総まとめ
自転車の塗装は、下地処理と、メーカーが指定する塗り重ねの間隔を守ることで失敗を減らせます。
● 下地:サビと油分を落とし、#240~#320で全体を軽く磨く
● 素材:鉄はサビドメかプラサフ、アルミは非鉄金属用の下塗りを使う
● 塗り方:缶の表示どおりの距離で薄く数回、10分ほど間隔をあける
● 安全:火気のない風の弱い屋外で、マスクと手袋を着ける
● 依頼:専門店の単色塗装は30,000円から。完成車は分解・組立の工賃が別
まずフレームの素材とキズの状態を確認し、必要な下塗り剤を決めるところから始めてください。
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📚 参考文献・出典
・警察庁 – 自転車に係る主な交通ルール(夜間のライトの点灯等・反射器材)
・NITE(製品評価技術基盤機構) – スプレー缶の爆発・やけど
※ 本記事は上記のメーカー・店舗の公式情報と公的機関の公表情報をもとに作成しています。

