「ラッカー 塗装 ギター」と検索している人の多くは、見た目の“味”や鳴りの良さに惹かれつつも、「傷つきやすいって本当?」「手入れが面倒?」「ポリ塗装と何が違うの?」と不安を抱えているはずです。ラッカーは“薄くて繊細”だからこそ、弾くほどに表情が変わり、一本のギターと一緒に歳を重ねる楽しさがあります。一方で、扱い方を知らないとベタつき・白濁・傷・ウェザーチェックに悩まされることも。この記事では、ラッカー塗装ギターの魅力と弱点を正面から整理し、DIYの要点、長持ちさせるコツ、後悔しない選び方まで、初心者でも迷わないように具体例たっぷりで解説します。
- ラッカー塗装の「良さ」と「弱点」を、音・見た目・耐久性の観点で腹落ちさせる
- ポリ塗装との違いと、買う前にできる見分け方を具体的に把握する
- DIYの流れと失敗しやすいポイントを先に知って、ムダな遠回りを減らす
- 手入れ・保管・経年変化(黄ばみ/ウェザーチェック)を味方につける
外部リンク(1本):ラッカー塗料の取り扱いで安全面も含めて確認したい場合は、メーカーの注意事項を必ず読みましょう。たとえば塗料メーカーの安全データシート(SDS)等が参考になります。メーカー公式の注意事項(SDS等)
ラッカー塗装のギターとは?特徴・メリットと弱点を整理

ラッカー塗装は、ギターの塗装方式の中でも「薄い塗膜」「硬化後の質感」「経年変化」が語られやすい仕上げです。ポリ塗装のように厚く強い“保護膜”で覆うというより、木材の表情を活かしながら仕上げるイメージに近いです。ただし薄い=万能ではなく、温度差や摩擦、溶剤・ゴムへの反応など、日常の扱いがそのまま見た目に出やすいのも事実です。ここでは、まずメリットと弱点を同じ目線で整理し、アコギ・エレキの違い、そして見分け方まで一気に押さえます。
ラッカー塗装のギターのメリットは?
ラッカー塗装ギターの魅力は、一言でいえば「見た目と手触りが“育つ”」ことです。新品の時点でも艶の出方が上品で、光の当たり方によって木目が立体的に見えやすい傾向があります。さらに、使い込むことで小傷や艶のムラ、わずかな色味の変化が積み重なり、“自分の一本”としての表情が濃くなっていきます。ピカピカを維持する喜びというより、味わいを増やす楽しさに近いです。
もう一つ、演奏面で語られがちなのが「塗膜が薄いことで木の振動を妨げにくい」という考え方です。ここは議論もありますが、少なくともラッカー仕上げの多くは厚塗りになりにくく、結果としてボディ表面の“皮膜感”が少ない個体もあります。アコギなら響きの立ち上がりや空気感、エレキなら生鳴りの反応や手元のニュアンスが好き、という人が選ぶ理由になりやすいです。
- 艶が上品で木目の立体感が出やすく、見た目の満足度が高い
- 小傷や色味の変化が“味”になり、一本を育てる楽しさがある
- 厚塗りになりにくく、表面の皮膜感が少ない個体が多い
- ヴィンテージ系の質感(ウェザーチェック等)に憧れる人と相性が良い
具体例として、50s〜60sスタイルのリイシューモデル(いわゆるヴィンテージ系)で「ラッカー仕上げ」を売りにしている個体は少なくありません。新品でも“ギラギラしすぎない艶”が出やすく、ピックガード周りの細かな擦れや、ボディトップの小さな打痕が「汚れ」ではなく「履歴」になりやすいのが、ラッカーを選ぶ楽しさです。
ラッカー塗料の弱点は何?
ラッカー塗装の弱点は、はっきり言えば「デリケートで反応が早い」ことです。代表的なのが、温度差や湿度差による塗膜のストレス、汗や皮脂によるベタつき、スタンドやストラップなど“ゴム・樹脂”との化学反応です。ラッカーは溶剤で溶ける性質を持つため、素材によっては塗膜が柔らかくなったり、色移りや跡が残ったりします。つまり「扱い方がそのまま外観に出る」塗装だと考えると、後悔が減ります。
また、傷の入りやすさも現実的なポイントです。硬化したラッカーは“カチッと硬い”一方で、衝撃には強いわけではありません。薄い分、打痕や擦り傷が目立つことがあります。さらに、ケース内の布地・ストラップの染料が移る、スタンドのゴムが溶けてくっつく、汗を放置して白っぽく曇る(白濁)など、日常で起きやすいトラブルが複数あります。
- 汗・皮脂でベタつきやすく、拭き取りをサボると手触りが悪化しやすい
- ギタースタンドやストラップのゴム/樹脂で“跡”や“溶け”が起きやすい
- 温度差でウェザーチェック(細かいヒビ)が出ることがある
- 薄い塗膜ゆえ、打痕・擦り傷が外観に反映されやすい
具体例として、「ライブ後に汗だくのままケースに入れて翌日開けたら、ボディ表面が白っぽく曇っていた」というケースは珍しくありません。汗や湿気が塗膜表面に残ると、光の散乱で白濁したように見えることがあります。慌てて強く磨くと逆に傷が増えるので、まずは乾いた柔らかいクロスで軽く拭き、室内で湿気を飛ばしてから状態を見る、という順序が安全です。
アコギのラッカー塗装は何が違う?音や見た目の特徴

アコギ(アコースティックギター)のラッカー塗装が話題になりやすいのは、ボディが大きく、鳴りが空気に直接影響する楽器だからです。塗装は「木を保護する膜」でもあるので、厚さや硬さが響きの感じ方に影響しうる、というイメージを持たれやすいです。実際、アコギはトップ材(スプルース等)の反応が音に直結し、ラッカーの薄さや硬化後の質感を“鳴りの軽さ”や“立ち上がり”として好む人がいます。
見た目の面では、アコギは木目が大きく見えるため、ラッカーの艶が「木の立体感」を強調しやすい傾向があります。さらに、日焼けや経年で色味が変化しやすく、ナチュラルカラーでも飴色っぽく育っていくのが魅力です。ただしアコギはトップ板が薄く繊細なので、温度・湿度管理の影響が大きい点も合わせて理解しておくと安心です。
- トップ材の反応が音に直結しやすく、塗膜の薄さが好みに合うことがある
- 木目が立体的に見え、ナチュラルでも飴色に育つ楽しさがある
- 温湿度の影響を受けやすいので、保管の基本が重要になる
具体例として、同じシトカ・スプルーストップでも、光沢が厚めの個体と、薄く上品に艶が出ている個体では、弾いたときの“指への返り”や“響きの広がり”の印象が変わると感じる人がいます。もちろん個体差が大きいので、塗装だけで決めつけず「実際に弾いて、反応が好みか」を最優先にすると失敗が減ります。
エレキギターのラッカー塗装の特徴は?向く人・向かない人
エレキギターの場合、音はピックアップで拾うため「塗装が音を決める」とまでは言い切れません。しかし、弾き心地や手触り、見た目の満足度、そして経年変化を楽しめるかどうかは、エレキでも大きな価値になります。ラッカーの“カラッとした手触り”や、艶の深さ、細かな傷が増えたときの雰囲気は、ポリには出しづらい魅力です。
一方で、エレキはスタンドに置きっぱなしにしやすい、ライブで汗をかきやすい、ストラップやケーブルが常に触れる、といった生活導線がラッカーの弱点に直撃しやすい楽器でもあります。つまり、向く人は「手入れも含めて楽器を楽しみたい人」、向かない人は「とにかく丈夫で気楽に扱いたい人」です。
- 向く人:小傷や焼けを“味”として受け入れられる/こまめに拭ける
- 向く人:ヴィンテージライクな見た目が好き/経年変化が楽しみ
- 向かない人:スタンド放置が多い/汗を拭かない/常に新品感を維持したい
- 向かない人:色移りや跡に強いストレスを感じるタイプ
具体例として、部屋の片隅にゴム製のネックハンガー(壁掛け)を付けて、そこにラッカーのエレキを長期間掛けっぱなしにすると、接触部分が溶けたり跡が残ったりすることがあります。こうした事故を避けるには、ラッカー対応のカバー素材を使う、布を噛ませる、そもそもケース保管に寄せる、といった“生活導線の設計”が大事です。
ギターのラッカー塗装とポリ塗装の見分け方は?
見分け方は「これだけで100%」という単発の方法はありません。なぜなら、メーカーや年代、上塗りの仕上げ方で見た目が似ることがあるからです。ただし、複数の観点を重ねると判断精度は上がります。基本は、艶の質感、塗膜の厚み感、経年変化の出方、そして摩擦・温度差への反応です。
よくある傾向として、ポリ塗装は塗膜が厚く均一で、光沢が“つるっとガラスっぽい”印象になりやすいです。ラッカーは艶が深くてもどこか柔らかい反射に見えることがあり、角の当たり方やバインディング周りで“塗膜の薄さ”を感じる個体もあります。また、ラッカーはウェザーチェックが出やすい(出る可能性がある)のに対し、ポリは出にくい傾向があります。
- 艶の反射:ポリは“つるっと均一”、ラッカーは“深い艶でも柔らかい”印象になりやすい
- エッジ:角やバインディング周りで塗膜の厚み感が出やすい(個体差あり)
- 経年変化:ラッカーは黄ばみ・チェックが出ることがある/ポリは出にくいことが多い
- 仕様表:最終的にはメーカー仕様(カタログ・公式スペック)が最も確実
具体例として、中古で「ラッカーっぽい」と言われる個体でも、実際は“ラッカー風の艶出し”をしているポリ仕上げだった、というケースがあります。確実性を上げたいなら、モデル名で公式スペックを確認する、または販売店に「塗装仕様(トップコート含む)」を質問するのが現実的です。見た目判断は便利ですが、最後は情報の裏取りが安心です。
| 比較項目 | ラッカー塗装 | ポリ塗装 |
|---|---|---|
| 見た目 | 深い艶・木の表情が出やすい/経年で味が出る | 均一で強い艶/新品感を保ちやすい |
| 耐久性 | デリケート(汗・ゴム・温度差に注意) | 比較的強い(気楽に扱いやすい) |
| 経年変化 | 黄ばみ・チェックなど“変化”が出ることがある | 変化は緩やか/チェックは出にくい傾向 |
| おすすめタイプ | 育てる楽しみが欲しい/手入れできる | 丈夫さ優先/新品感を維持したい |
ラッカー塗装のギターをDIYする方法と長持ちさせるコツ

ラッカー塗装は「やってみたい」と思わせる魅力がある反面、DIYでは失敗もしやすい塗装です。下地処理の甘さ、乾燥不足、重ね塗りのタイミング、研磨の当てすぎ、温湿度管理のミスなど、原因がいくつも重なってトラブルになります。逆に言えば、失敗パターンを先に知り、手順を“急がない設計”にすれば成功率は上がります。この章では、DIYの現実、やり方の流れ、重ね塗りの考え方、手入れと保管、経年変化の出方、そして価格が安い理由まで、実用目線でまとめます。
ギターのdiyは可能?失敗しやすいポイントも確認
結論から言うと、ギターのラッカー塗装DIYは可能です。ただし「初めて塗装する人が、いきなり本番のギターを完璧に仕上げる」のは難易度が高いのも事実です。なぜなら、ギターは平面だけでなく曲面・エッジ・ネックジョイント周りなど、塗りムラや垂れが出やすい形状が多く、しかも見た目の粗がそのまま“作品の評価”になります。家具や小物の塗装より、完成の期待値が高くなりがちです。
失敗しやすいポイントは、ほとんどが「下地」と「乾燥」と「環境」です。塗装はスプレーを吹く行為が目立ちますが、実は仕上がりの大半は下地処理で決まります。傷・段差・導管・汚れ・油分が残ったまま塗ると、どんなに高いラッカーを吹いても、凹凸やはじきが出て台無しになりやすいです。また、乾燥が甘いと研磨で“モロモロ”になったり、重ね塗りで縮み(シワ)になったりします。
- 下地の甘さ:研磨不足、傷・段差の残り、油分の残り(はじきの原因)
- 乾燥不足:研磨で荒れる、重ね塗りで縮む、指紋が残る
- 環境ミス:湿度が高く白濁、寒すぎて乾かない、埃が舞ってブツが入る
- 吹き方のミス:近すぎて垂れる、遠すぎてザラつく、同じ場所に吹き続ける
具体例として、冬の寒い日にベランダで吹いて「表面だけ乾いているように見える」状態で翌日に研磨すると、中が乾いておらず塗膜が柔らかいまま削れて、消しゴムカスのようにモロモロが出ることがあります。こうなると、再研磨→再塗装の手戻りが大きいです。DIYで最も効くコツは、作業を焦らないことと、試し吹きを徹底することです。
ラッカー塗装のやり方:準備から仕上げまでの流れ
ラッカー塗装のDIYは、工程をざっくり分けると「分解・養生 → 下地作り → 下塗り/色 → クリア → 乾燥 → 研磨 → 磨き → 組み戻し」です。ギターの場合、パーツを残したまま塗ると段差やマスキング痕が出やすいので、基本は可能な限り分解して進めます。とくにネック周りやブリッジ周辺は、塗装の境界が目立ちやすい場所です。
初心者ほど意識したいのは「一気に完成させようとしない」ことです。ラッカーは薄く重ねていく塗装なので、1回で厚く塗るほど垂れやすく、乾燥不良や縮みの原因になります。薄く吹く→乾かす→軽く整える、を繰り返した方が、結果的に近道になります。なお安全面として、溶剤系ラッカーは換気・防毒マスク・火気厳禁が大前提です。
- 分解:弦、ピックガード、ブリッジ、電装、ネック(可能なら)を外す
- 洗浄/脱脂:汚れと油分を落とす(指紋・ワックス残りははじきの原因)
- 研磨:古い塗膜の足付け、傷や段差を均す(番手を上げながら)
- 下地処理:必要ならシーラー/サーフェイサーで面を作る
- カラー:薄く吹いて乾燥、必要回数を重ねる
- クリア:色を守る層として重ねる(焦って厚塗りしない)
- 乾燥:触れる乾燥ではなく“研磨・磨きに耐える乾燥”を待つ
- 研磨/磨き:肌を整え、艶を出す(当てすぎ注意)
- 組み戻し:パーツを戻し、セットアップ(オクターブ等)を取る
具体例として、サンバーストやメタリックのように見た目が繊細なカラーは、ムラが出ると一気に“素人感”が出ます。初心者が最初に挑戦するなら、単色のソリッドカラーやナチュラルクリア(木目活かし)に寄せると、難易度が下がります。さらに、いきなり本体ではなく、同じ塗料を木片に吹いて乾燥・研磨・磨きまで練習すると、失敗確率が大きく下がります。
重ね塗りのコツは?ムラ・縮みを防ぐ考え方
ラッカーの重ね塗りで失敗が起きる原因は、「乾燥の段階が違う層に次の層を乗せる」ことが多いです。表面は乾いていても内部が乾いていないと、次の溶剤が下の層を再び溶かし、縮み(シワ)やブツ、ムラが出ます。重ね塗りの基本は、1回の塗布量を少なくし、乾燥を挟み、同じリズムで積み上げることです。焦りは最大の敵です。
ムラを防ぐには、吹き方の“動作”を決めるのが効きます。スプレーは「止めた瞬間」に溜まりやすいので、吹き始めは対象の外から、吹き終わりも対象の外へ抜ける、という癖をつけると垂れにくいです。また、一定距離・一定速度で“面”をなでるように吹き、同じ場所に吹き続けないこと。重ね塗りは厚くするのではなく、“薄い膜を均一に増やす”イメージです。
- 1回で厚塗りしない:垂れ・縮み・乾燥不良の原因になる
- 吹き始め/終わりは対象の外:止める場所で溜まりやすい
- 一定距離・一定速度:近すぎは垂れ、遠すぎはザラつき
- 層の乾燥を待つ:表面乾燥=完成ではない
具体例として、「艶が出ないから」と同じ場所に何度も吹き足すと、表面はテカるのに数時間後にシワが寄ることがあります。これは下層が溶剤で再溶解し、収縮して起きる典型例です。艶は最終の研磨・磨きで作るもの、と割り切って、塗装工程は“均一に膜を積む”ことに集中した方が成功しやすいです。
| 症状 | ありがちな原因 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| ムラ(色の濃淡) | 吹く距離/速度が不安定、重なり幅がバラバラ | 動作を固定、面を分けて一定リズムで重ねる |
| 縮み(シワ) | 乾燥不足の層に重ねた、厚塗り | 薄塗り・乾燥時間の確保、塗り直しは研磨して整える |
| 白濁 | 湿度が高い、急冷 | 環境を整える、乾燥で改善する場合もある |
| ザラつき | 遠すぎ、塗料が途中で乾く、埃 | 距離調整、軽研磨で整える、作業場所の清掃 |
ラッカー塗装ギターの手入れの基本:拭き方・保管の注意点

ラッカー塗装を長持ちさせる手入れの基本は、難しいことではなく「汗と汚れを残さない」「ゴムや溶剤に触れさせない」「温度差を減らす」の3つに集約できます。特別なケミカルを頻繁に使うより、演奏後に乾いたクロスで拭く習慣の方が効果が大きいです。とくにボディの当たる部分(腕が触れるトップ、ネック裏、ボディバック)は汗が溜まりやすいので、毎回サッと拭くだけでもベタつき予防になります。
保管で重要なのは、スタンドの素材と、ケース内の湿気です。ラッカーはゴム・樹脂に弱いことがあるので、一般的なゴム製スタンドは“ラッカー対応”か確認し、怪しければ布を噛ませるのが安全です。ケース保管は安心に見えますが、汗を拭かずに入れると湿気が閉じ込められ、白濁や金属パーツの腐食につながります。演奏後の一拭きは、手入れというより“事故防止”です。
- 演奏後は乾いたクロスで拭く(ネック裏・腕が当たる場所は重点)
- スタンド/ハンガーはラッカー対応素材か確認、怪しければ布を噛ませる
- 汗だくのままケースに入れない(湿気を飛ばしてから収納)
- 直射日光・暖房の風・車内放置を避ける(温度差が大きい)
具体例として、夏場のライブ後にそのまま車に積み込み、翌朝に冷えた状態でケースを開けると、温度差と湿気が同時に起きやすく、塗膜にも木にも負担がかかります。ラッカーのチェック(細ヒビ)は“味”として歓迎されることもありますが、意図せず急激に出るとショックが大きいはずです。温度差を減らす=失敗の芽を摘む、と考えると行動が決めやすくなります。
経年変化はどう出る?黄ばみ・ウェザーチェック
ラッカー塗装の大きな魅力として語られるのが、経年変化です。代表的なのは「黄ばみ」と「ウェザーチェック(細かなヒビ)」です。黄ばみは、クリア層が時間や光の影響で色味が変わり、白系やナチュラル系が飴色に寄っていく現象です。ウェザーチェックは、温度差などで塗膜が伸縮し、細いヒビが入ることで独特の雰囲気が出ます。ヴィンテージの写真で見た“あの表情”に近づく要素です。
ただし、経年変化はコントロールしづらい部分もあります。黄ばみはゆっくり進むので楽しめますが、急激な温度差で出たチェックは「狙った味」ではなく「事故」に感じる人もいます。さらに、白濁やベタつき、色移りのような“望まない変化”も同じく時間とともに起こり得ます。だからこそ、経年変化は「歓迎する変化」と「避けたい変化」を分けて考えるのがコツです。
- 歓迎する変化:黄ばみ、艶の落ち着き、小傷の蓄積、チェック(好み次第)
- 避けたい変化:白濁、ベタつき、ゴム跡、染料の色移り、溶け
- 差が出る要因:保管環境(温度差/湿度)、触れ方(汗/皮脂)、接触素材
具体例として、同じラッカー塗装でも、喫煙環境・日当たり・ライブ頻度などで黄ばみ方が大きく変わります。「自分の生活の中で育つ」のがラッカーの醍醐味なので、完璧なコントロールを狙うより、最低限の事故(ゴム跡・湿気・急激な温度差)だけを避けて、あとは付き合いとして楽しむ、というスタンスが続けやすいです。
ラッカー塗装のギターが安いのはなぜ?大丈夫?価格差が出る理由
「ラッカー塗装=高い」というイメージがある一方で、ラッカー塗装をうたうのに安いギターも存在します。ここで大事なのは、“ラッカー塗装”という言葉だけで品質を判断しないことです。価格差が出る理由は、塗装そのものよりも、木材のグレード、乾燥工程、下地処理の手間、検品の精度、そして生産体制(量産か少量か)の差が大きいからです。
また、「ラッカー」と一口に言っても、完全ラッカーなのか、下地はポリでトップだけラッカーなのか(いわゆるラッカートップ等)、工程の設計で手間とコストが変わります。量産でコストを抑える場合、下地である程度強度と均一性を作り、表面の質感だけラッカーに寄せることもあります。これが悪いわけではなく、狙いとトレードオフを理解して選ぶのが賢いです。
- 安い理由になりやすい:木材グレード、乾燥/保管のコスト、検品工程の差
- 塗装の内訳差:完全ラッカーか、下地が別塗装か、トップのみラッカーか
- 気にすべき点:塗装より“個体の状態”と“メーカー/モデルの実績”
- 判断材料:公式スペック、評判、実機の仕上げ(ムラ/段差/触り心地)
具体例として、安いラッカー表記の個体でも、ネックの握り心地が良く、塗装ムラが少なく、パーツ精度が安定していれば「大丈夫」と判断できます。逆に高価でも、あなたの手に合わなければ後悔します。価格は目安で、最後は“状態と相性”で決めるのが正解です。中古なら、スタンド跡・色移り・白濁の有無をチェックし、気になる場合は写真追加や現物確認をおすすめします。
まとめ:ラッカー塗装のギターで後悔しない選び方と扱い方
ラッカー塗装ギターで後悔しないための核心は、「ラッカーの魅力を“維持”するのではなく、“付き合う”と決めること」です。小傷や黄ばみ、艶の変化は、ラッカーにとって欠点であると同時に魅力でもあります。新品感をずっと固定したいならポリの方が向きますし、一本を育てる気持ちがあるならラッカーは最高に楽しい相棒になります。
選び方の実務としては、まず用途を明確にしましょう。家で丁寧に弾くのか、ライブでガンガン使うのか、スタンド放置が多いのか。次に、見た目の好み(艶・木目・経年変化)と、生活導線(保管場所・温湿度・手入れの習慣)を照らし合わせます。最後に、モデルの公式スペックで塗装仕様を確認し、実機の状態や触り心地で決める。この順番なら失敗が減ります。
- 新品感を保ちたいならポリ、育てたいならラッカー、という大枠を決める
- 汗・ゴム・温度差がラッカーの天敵。生活導線を先に整える
- DIYは下地と乾燥が9割。厚塗りせず、試し吹きで練習する
- 中古はスタンド跡・色移り・白濁を重点チェック。気になるなら写真追加確認
具体例として、「演奏後に30秒だけ拭く」「スタンドはラッカー対応にする(布を噛ませる)」「直射日光と暖房の風を避ける」だけでも、ラッカーのトラブルはかなり減ります。ラッカー塗装ギターは、少しの手間で“見た目も気分も育つ”楽器です。あなたの生活の中で続けられる扱い方を選べば、ラッカーは弱点ではなく、長く付き合える魅力に変わります。

