腐った木材の補修はどうする?状態別の直し方と失敗しない対策を徹底解説

腐った木材の補修はどうする?状態別の直し方と失敗しない対策を徹底解説

ベランダやウッドデッキ、柱まわりなどで木材がボロボロになっているのを見て、「これって補修できるの?」「もう交換するしかない?」と悩んでいませんか。腐った木材は見た目だけでなく、強度や安全性にも直結するため、不安に感じる方は少なくありません。

結論から言うと、腐り具合や状態を正しく見極めれば、腐った木材でも補修できるケースは多くあります。すべてを撤去しなくても、適切な方法を選べば費用や手間を抑えて直すことが可能です。

一方で、やり方を間違えると、表面だけきれいに見えて内部は腐ったままになったり、数か月で再発してしまうリスクもあります。パテや薬剤を使えば安心、と思い込むのは危険です。

この記事では、腐った木材の状態別の補修方法から、パテやエポキシの使い分け、費用感、さらに再発を防ぐための対策までを分かりやすく解説します。初めて補修に挑戦する方でも、失敗しない判断ができるようになる内容です。

  • 腐った木材でも状態次第で補修できるケースがある
  • パテ補修が向いている場合と避けるべきケースが分かる
  • エポキシや腐食対策剤の正しい使い方を理解できる
  • 再発を防ぐための木材選びと予防策が分かる

腐った木材の補修が必要になるのはなぜ?状態の見極め方と注意点

腐った木材の補修が必要になるのはなぜ?状態の見極め方と注意点

木材が腐ってしまった場合、見た目が悪くなるだけでなく、建物や設備の安全性そのものに影響を及ぼします。特に住宅まわりや屋外に使われている木材は、日常的に雨や湿気、温度変化にさらされており、気づかないうちに内部まで腐食が進行しているケースも少なくありません。

腐った木材をそのまま放置すると、強度が大きく低下し、踏み抜きや倒壊といった事故につながるおそれがあります。また、腐食部分から水分が入り込み、周囲の健全な木材まで傷めてしまうこともあります。そのため、早い段階で補修が必要かどうかを見極め、適切な対応を取ることが重要です。

木材の腐り具合は、大きく分けて「表面だけが傷んでいる状態」と「内部まで進行している状態」に分かれます。表面をドライバーなどで軽く押してみて、簡単にへこむ場合や、繊維がボロボロ崩れる場合は注意が必要です。見た目がそこまで悪くなくても、内部がスポンジ状になっていることもあります。

国土交通省が公開している住宅維持管理に関する資料でも、木材の劣化要因として「水分の滞留」と「換気不足」が大きな原因であると示されています。特に雨水がかかりやすい部分や、風通しの悪い場所では、腐朽菌が繁殖しやすく、補修が必要になる可能性が高まります。

こうした背景を踏まえると、腐った木材を見つけた際には「すぐ交換するか」「補修で対応できるか」を判断することが大切です。その判断を誤らないためにも、補修の基本的な手順や、使える方法・使えない方法を理解しておく必要があります。

ここからは、実際に腐った木材を補修する場合、どのような流れで作業を進めるのかを具体的に見ていきます。

腐った木材の補修方法はどんな手順になる?

腐った木材を補修する際の基本的な考え方は、「腐食部分をしっかり取り除き、残った健全な部分を保護・補強する」ことです。見た目だけを整えるのではなく、原因となっている弱った部分を除去することが、長持ちさせるための重要なポイントになります。

まず最初に行うのが、腐っている範囲の確認です。表面だけでなく、内部まで腐っていないかを確かめるため、ドライバーやキリなどを使って軽く突いてみます。このとき、スカスカした感触があれば、その部分は補修対象になります。

次に、腐食している部分を削り取ります。ノミや彫刻刀、ワイヤーブラシなどを使い、柔らかくなっている木材を取り除きます。この工程を甘くすると、内部に腐朽菌が残り、数か月後に再発する原因になります。

腐った部分を除去した後は、しっかり乾燥させることが欠かせません。湿ったまま補修材を使うと、内部に水分が閉じ込められ、逆に腐りやすくなってしまいます。天気の良い日に数時間から半日ほど乾かすのが理想です。

乾燥が終わったら、用途に応じて補修材を使います。浅い腐食であれば木部用パテ、深い欠損がある場合はエポキシ系補修材などを使って形を整えます。補修材は一度に盛りすぎず、数回に分けて施工することで、ひび割れを防ぎやすくなります。

最後に、表面を研磨して整え、防腐・防水塗料を塗布します。この仕上げを行うことで、水分の侵入を抑え、補修部分を長持ちさせることができます。

実際に、ウッドデッキの一部が腐り始めた家庭では、早めに腐食部分を削り、エポキシで補強したうえで防腐塗料を塗ったことで、数年間問題なく使用できている例もあります。逆に、削らずに上からパテだけを盛った場合、翌年には再び崩れてしまったケースも見られます。

このように、補修手順を正しく踏むことが、結果的に費用や手間を抑えることにつながります。

次に、多くの方が気になる「パテで直す方法」について、本当に安全なのかを詳しく見ていきます。

パテで直すのは本当に大丈夫?

木材補修と聞くと、真っ先に木部用パテを思い浮かべる方は多いかもしれません。ホームセンターでも手軽に購入でき、作業も簡単そうに見えるため、パテで直せば十分だと考えがちです。

結論から言うと、パテ補修が適しているのは「表面の軽い欠け」や「小さな穴」に限られます。内部まで腐っている木材をパテだけで直すのは、根本的な解決にはなりません。

理由として、木部用パテ自体には木材を強くする効果がほとんどない点が挙げられます。パテはあくまで形を整えるための材料であり、腐った木材の内部構造を回復させるものではありません。そのため、内部が弱ったままだと、外からの力で簡単に割れたり剥がれたりします。

また、国や自治体が公開している住宅メンテナンス資料でも、腐食が進行した木材については「補修材による表面的な補修では不十分」とされており、腐食部分の除去や部材交換が推奨されています。これは、見た目がきれいでも安全性が確保できないためです。

実例として、雨ざらしになっている木製フェンスの柱にパテを使ったケースがあります。表面の穴を埋めて塗装した直後は問題なさそうに見えましたが、半年ほどでパテ部分が剥がれ、内部の腐食がさらに広がってしまいました。原因は、内部の腐った木材を取り除かずに施工したことでした。

一方で、室内の造作材や、乾燥した環境にある木材の小さな欠けであれば、パテ補修でも十分対応できます。この場合は、構造的な強度を求められない部分であることが前提になります。

つまり、パテ補修が向いているかどうかは、木材の置かれている環境と腐食の深さによって判断する必要があります。安易に「パテで埋めれば大丈夫」と考えず、状態をしっかり確認することが、失敗を防ぐ最大のポイントです。

腐った木材の補修では、「どの方法を選ぶか」よりも「どの状態に、どの方法が合っているか」を見極めることが重要です。適切な判断をすれば、無駄な出費ややり直しを避けることができます。

パテ補修の相場はいくら?費用感を知りたい

パテ補修の相場はいくら?費用感を知りたい

腐った木材を補修する際に気になるのが、「実際いくらくらいかかるのか」という費用面です。結論から言うと、パテ補修は比較的安価に行える方法ですが、安さだけで選ぶと結果的にやり直しが必要になり、余計な出費につながることもあります。

木部用パテ自体の価格は、ホームセンターやネット通販で1本500円〜1,500円程度が一般的です。内容量は小規模な補修向けのものが多く、室内の巾木や家具の欠け、浅い傷を埋める用途を想定しています。補修する範囲が狭く、構造的な強度を必要としない場合であれば、材料費だけで済むため費用を抑えやすいです。

一方で、屋外の木材や、腐食がある程度進んでいる場合は注意が必要です。パテそのものは安くても、下処理として腐った部分を削る工具、防腐剤、塗料などが必要になり、トータルで見ると数千円かかることもあります。

国土交通省が公開している住宅の維持管理に関する資料では、劣化部分の応急的な補修は「短期的な対応」と位置付けられており、恒久的な補修や交換に比べると費用は抑えられるものの、耐久性は限定的であると示されています。つまり、パテ補修は安価ではあるものの、長期的なコストパフォーマンスは必ずしも高いとは言えません。

実例として、室内の窓枠の一部が欠けてしまったケースでは、木部用パテとサンドペーパーだけで補修でき、材料費は1,000円程度で済んだ例があります。この場合、湿気の影響が少ない場所だったため、その後も問題なく使えています。

反対に、ベランダの手すりの腐食部分をパテだけで直したケースでは、材料費は2,000円ほどで済んだものの、1年後に再び腐りが進行し、最終的には部材交換が必要になりました。このように、初期費用が安くても、結果的に高くつくこともあります。

費用感を正しく把握するためには、「どこに使う木材なのか」「どの程度の強度が求められるのか」を考えたうえで、パテ補修が本当に適しているかを判断することが重要です。

次に、パテでは対応しきれない場合に使われることが多い、エポキシ系補修材の特徴について見ていきます。

木材腐食補修に使うエポキシの特徴は?

木材の腐食補修において、より強度を求める場合に選ばれるのがエポキシ系補修材です。結論として、エポキシは正しく使えば、パテよりも高い耐久性と補強効果が期待できる補修材です。

エポキシは、主剤と硬化剤を混ぜ合わせて使うタイプの樹脂で、硬化後は非常に硬くなります。木材の欠損部分を埋めるだけでなく、内部に染み込ませることで、弱った木材を補強する目的でも使用されます。

この特徴は、住宅補修の現場でも評価されており、自治体の公共施設の補修事例でも、木製部材の部分補修にエポキシ樹脂が使われるケースがあります。完全な交換が難しい場合の代替手段として、強度を確保しやすい点が理由です。

エポキシ補修の大きなメリットは以下の点にあります。

  • 硬化後の強度が高く、欠損部分をしっかり支えられる
  • 水に強く、屋外でも使いやすい
  • 形状を自由に成形できるため、複雑な欠けにも対応できる

一方で、デメリットもあります。材料費はパテより高く、1セット2,000円〜5,000円程度が相場です。また、混合比率や硬化時間を守らないと、うまく固まらなかったり、ひび割れが起きたりすることもあります。

実例として、ウッドデッキの踏み板の一部が腐ったケースでは、腐食部分を削り取った後にエポキシを充填し、上から塗装することで、数年間問題なく使用できた例があります。この場合、材料費は約4,000円でしたが、踏み抜きの不安が解消されたという点で満足度は高い結果となりました。

ただし、エポキシも万能ではありません。内部まで広範囲に腐っている場合や、構造材として重要な部分では、補修ではなく交換が必要になることもあります。エポキシはあくまで「部分的な補修と補強」に適した材料だと理解しておくことが大切です。

次に、補修材を使う以前の段階として、「腐った木を固める」という考え方について解説します。

腐った木を固めることはできる?応急処置の考え方

腐った木材を見たとき、「削らずに、そのまま固められないのか」と考える方も少なくありません。結論として、専用の薬剤を使えば、ある程度まで木材を固めることは可能ですが、あくまで応急処置として考える必要があります。

市販されている木材用の強化剤や含浸材は、腐り始めた木材に染み込ませることで、繊維を固める働きを持っています。これにより、表面のボロボロ感を抑え、進行を遅らせる効果が期待できます。

ただし、国や公共団体が示す建築物の維持管理指針では、腐朽が確認された木材については「腐朽部分の除去」が基本とされており、固めるだけの処置は恒久的な対策とは見なされていません。これは、内部に腐朽菌が残ることで、時間とともに再び劣化が進むためです。

実例として、雨が直接当たらない軒下の柱に軽度の腐食が見られたケースでは、強化剤を塗布したことで、見た目と手触りが改善し、数年は問題なく使えたという報告があります。この場合、腐食がごく初期段階だったことが効果につながりました。

一方で、地面に近い部分や、水が溜まりやすい場所の木材に同じ処置を行った場合、半年から1年ほどで再び柔らかくなり、最終的には大きな補修が必要になった例もあります。

腐った木を固める方法が向いているのは、以下のような条件に限られます。

  • 腐食がごく浅く、初期段階である
  • 構造的な強度をあまり求められない部分
  • 雨や湿気の影響が少ない場所

これらに当てはまらない場合は、固めるだけでは不十分であり、削り取りや補修材の使用、場合によっては交換を検討する必要があります。

腐った木材の補修では、「手軽さ」を優先しすぎると、結果的に安全性や耐久性を損なうことになります。固める方法は便利に見えますが、使いどころを見極めることが何より重要です。

腐った木材の補修を成功させる方法は?適切な手順と防止策まで解説

腐った木材の補修を成功させる方法は?適切な手順と防止策まで解説

ここまでで、腐った木材の補修方法や補修材の選び方について見てきましたが、補修を一度行っただけでは根本的な解決にならない場合もあります。大切なのは、補修後に同じトラブルを繰り返さないことです。そのためには、木材がなぜ腐るのかを理解し、腐らせないための対策をあわせて行う必要があります。

木材の腐食は偶然起こるものではなく、必ず原因があります。湿気、水分の滞留、風通しの悪さなど、条件がそろうことで進行します。補修を成功させるためには、作業そのものだけでなく、環境を改善する視点も欠かせません。

ここからは、木材を腐らせないための具体的な方法や、材料選び、薬剤の使い方について順番に解説していきます。

木材を腐らないようにする方法とは?予防策を知りたい

結論から言うと、木材を腐らせないために最も重要なのは「水分をためない環境を作ること」です。どんなに強い木材や高価な防腐剤を使っても、水分が長時間とどまる状態では腐食を完全に防ぐことはできません。

木材が腐る主な原因は、腐朽菌と呼ばれる微生物の繁殖です。これらは、湿度が高く、酸素があり、適度な温度がそろうことで活発になります。林野庁や国土交通省が公表している木材利用や住宅維持管理に関する資料でも、木材劣化の最大要因として「雨水や結露による含水率の上昇」が挙げられています。

そのため、予防策の基本は以下のような考え方になります。

  • 木材に直接雨が当たらないようにする
  • 水が溜まる形状を避ける
  • 風通しを確保して乾きやすくする

具体的には、屋外の木材であれば、地面から少し浮かせて設置する、傾斜をつけて水が流れるようにする、といった工夫が効果的です。ウッドデッキやフェンスでよく見られる腐食は、地面に近い部分や、水平に水が溜まりやすい場所に集中します。

また、定期的な塗装も重要な予防策です。防腐・防水塗料を塗ることで、木材内部への水分の侵入を抑えることができます。ただし、塗料は永久に効果が続くものではありません。一般的には2〜3年ごとに再塗装することで、効果を維持しやすくなります。

実例として、同じ材質のウッドフェンスでも、定期的に塗装と清掃を行っている家庭では10年以上問題なく使えている一方、設置後に何も手入れをしていない場合は、5年ほどで根元が腐ってしまったケースもあります。この差は、材料よりも管理方法による影響が大きいと言えます。

木材を腐らないようにするには、「特別なことをする」よりも、「水を避け、乾かす」ことを意識した日常的な対策が最も効果的です。

腐りにくい木材を選ぶときのポイント

木材の補修や新設を考える際、「そもそも腐りにくい木材を選びたい」と考える方も多いはずです。結論として、木材の種類によって耐久性には大きな差があり、使用場所に合った材を選ぶことが腐食対策につながります。

木材には、もともと腐りにくい性質を持つものと、そうでないものがあります。これは、木材に含まれる成分や密度の違いによるものです。林野庁の資料でも、樹種による耐久性の違いは明確に示されています。

一般的に、屋外で使われることが多い腐りにくい木材には、次のようなものがあります。

  • ヒノキ:水に強く、耐久性が高い
  • ヒバ:防虫性・防腐性に優れる
  • ウリン:非常に硬く、腐りにくいが高価
  • セランガンバツ:屋外デッキ材として使われることが多い

一方で、スギやホワイトウッドなどは加工しやすく価格も安い反面、屋外で無対策のまま使うと腐りやすい傾向があります。ただし、これらの木材が必ずしも悪いわけではなく、防腐処理や適切な塗装を行えば、十分に実用的です。

実例として、屋外ベンチを作る際に、価格だけでスギ材を選び、無塗装で設置したケースでは、数年で座面が傷んでしまいました。一方、同じスギ材でも、防腐処理済みのものを使い、定期的に塗装を行った場合は、長期間使用できています。

腐りにくさだけでなく、以下の点もあわせて考えることが大切です。

  • 使用場所(屋内か屋外か)
  • 地面や水との距離
  • メンテナンスできる頻度

高耐久な木材を選べば安心というわけではなく、環境と管理のしやすさを含めて選ぶことが、結果的に腐食を防ぐ近道になります。

腐食剤は木材に使うべき?安全性と用途を解説

木材の腐食対策として、「腐食剤」や「防腐剤」を使うべきか悩む方も多いのではないでしょうか。結論として、用途と場所を正しく選べば、腐食剤は有効な対策になりますが、万能ではありません。

木材用の腐食剤や防腐剤は、腐朽菌やシロアリなどの活動を抑える成分を含んでおり、木材内部に浸透させることで劣化を遅らせる働きをします。現在市販されている多くの製品は、住宅用途を想定した安全基準を満たしており、正しい使い方をすれば人体への影響は抑えられています。

国土交通省や厚生労働省の関連資料でも、住宅用に認可された防腐・防蟻処理剤については、使用方法を守ることを前提に安全性が確保されているとされています。ただし、過剰な使用や換気不足の環境では、においや刺激を感じることがあるため注意が必要です。

腐食剤が向いているのは、以下のようなケースです。

  • 屋外で雨や湿気の影響を受けやすい木材
  • 地面に近い位置にある木部
  • 補修後の再発防止を目的とする場合

実例として、ウッドデッキの根太部分に防腐剤を塗布したケースでは、同じ条件でも未処理の木材に比べて腐食の進行が明らかに遅くなったという報告があります。これは、防腐剤によって菌の繁殖が抑えられたためです。

一方で、すでに内部まで腐っている木材に腐食剤を塗るだけでは、十分な効果は期待できません。腐食剤は「予防」や「進行を遅らせる」ためのものであり、腐った部分を元に戻すものではないからです。

また、室内の家具や人が頻繁に触れる場所では、使用できる製品を選ぶ必要があります。用途に合わない強力な薬剤を使うと、健康面の不安が生じることもあります。

腐食剤は、補修や木材選びと組み合わせて使うことで効果を発揮します。単独で頼るのではなく、「環境改善」「材料選定」「定期的な点検」とあわせて活用することが、木材を長持ちさせるための現実的な方法です。

木の腐食を止める方法はある?家庭でできる対処

木の腐食を止める方法はある?家庭でできる対処

木が腐り始めたときに多くの方が気になるのが、「この腐食をここで止められないのか」という点です。結論からお伝えすると、腐食の進行を遅らせたり、条件次第では実質的に止めることは可能ですが、完全に元の状態へ戻すことはできません。そのため、家庭でできる対処は「これ以上悪化させないこと」を目的に考える必要があります。

木材が腐る最大の原因は、繰り返しになりますが水分です。腐朽菌は、木材の含水率が高い状態で活発に活動します。林野庁が公表している木材利用に関する資料でも、木材の耐久性を下げる直接的な要因として「長期間にわたる湿潤状態」が指摘されています。つまり、腐食を止めたいのであれば、まず水分環境を改善することが最優先になります。

家庭でできる現実的な対処としては、以下のような流れになります。

  • 腐っている、または柔らかくなっている部分を確認する
  • 表面の腐食部分を削り、乾燥させる
  • 必要に応じて防腐剤や強化剤を使う
  • 水が溜まらないように環境を整える

まず、腐食が軽度な場合は、ボロボロした部分をワイヤーブラシやカッターで取り除き、しっかり乾燥させます。この段階で、木材が硬さを保っていれば、腐食は初期段階である可能性が高いです。乾燥後に木材用の防腐剤や木部強化剤を塗布することで、菌の活動を抑え、進行を遅らせることができます。

国や自治体が管理する公共施設の木部点検マニュアルでも、初期劣化段階においては「乾燥環境の確保」と「表面処理による予防」が有効とされています。これは家庭でも同じ考え方で応用できます。

実例として、雨の吹き込みが少ない玄関ポーチの木製柱で、表面が少し柔らかくなっていたケースがあります。この場合、腐食部分を削り、防腐剤を塗布し、さらに柱の根元に水が溜まらないよう砂利を敷いたことで、その後数年間、腐食が進行せずに済んでいます。

一方で、地面に直接触れている木材や、常に雨水が当たる場所では、家庭での対処には限界があります。どれだけ防腐剤を塗っても、水分が供給され続ける環境では、腐朽菌の活動を完全に止めることはできません。

重要なのは、「腐食を止める」という言葉を過信しないことです。家庭でできる対処は、あくまで延命措置であり、根本的な解決は環境改善や部材交換とセットで考える必要があります。

腐った木はどうすればいい?放置NGの理由

腐った木材を見つけたとき、「まだ使えそうだから」「今すぐ困らないから」と、そのまま放置してしまうケースは少なくありません。しかし結論として、腐った木を放置することはおすすめできません。理由は、安全性、修理費用、被害の拡大という3つの面で大きなリスクがあるためです。

まず安全性の問題です。木材は見た目以上に内部から劣化が進みます。表面が残っていても、中がスカスカになっていると、ある日突然折れたり、踏み抜いたりする危険があります。特にウッドデッキ、階段、手すりなど、人の体重がかかる場所では事故につながる可能性があります。

国土交通省が示している住宅事故防止の資料でも、経年劣化した木製部材による転倒や落下事故が一定数報告されており、点検と早期対応の重要性が強調されています。これは、放置が直接事故につながる可能性を示しています。

次に、費用面の問題です。腐食は自然に止まることはなく、条件がそろえば確実に進行します。初期段階であれば部分補修で済んだものが、放置することで周囲の木材まで腐り、最終的には広範囲の交換が必要になることもあります。

実例として、ベランダの床板の一部が腐っていたにもかかわらず放置した結果、下地の根太まで腐食が広がり、床全体の解体と交換が必要になったケースがあります。この場合、数千円の補修で済む可能性があったものが、数十万円の工事費用に膨らんでしまいました。

さらに、腐った木材は他のトラブルを呼び込みます。湿った木材はシロアリや害虫にとって格好の環境です。一箇所の腐食を放置したことで、被害が建物全体に広がることもあります。

腐った木を見つけたときの基本的な対応は、次のように整理できます。

  • 腐食の範囲と深さを確認する
  • 部分補修で対応できるか判断する
  • 難しい場合は交換や専門業者を検討する

「まだ使えるかどうか」ではなく、「これ以上使い続けて安全かどうか」という視点で判断することが大切です。放置は何も解決せず、問題を大きくするだけだと理解しておく必要があります。

まとめ:腐った木材の補修を成功させるポイントと再発防止策

ここまで見てきたように、腐った木材の補修を成功させるためには、単に穴を埋めたり、見た目を整えたりするだけでは不十分です。結論として、補修の成否を分けるのは「正しい判断」と「再発を防ぐ視点」を持てるかどうかです。

まず重要なのは、腐食の状態を正しく見極めることです。表面だけの軽度な劣化なのか、内部まで進行しているのかによって、取るべき対処は大きく変わります。無理に家庭補修で済ませようとすると、安全性や耐久性を損なう結果になりかねません。

次に、補修方法の選択です。パテ、エポキシ、防腐剤、強化剤など、それぞれに向き不向きがあります。価格や手軽さだけで選ぶのではなく、「その場所で、どの程度の強度が必要か」「今後どれくらい使い続けたいか」を基準に考えることが重要です。

実例を振り返ると、補修がうまくいっているケースの多くは、以下の点を意識しています。

  • 腐食部分を中途半端に残さず、しっかり除去している
  • 乾燥と下処理を丁寧に行っている
  • 補修後に防腐・防水対策を行っている

そして最も重要なのが再発防止策です。木材は、置かれている環境が変わらなければ、再び同じ問題を起こします。水の流れ、地面との距離、風通し、定期的な点検といった要素を見直すことで、補修の効果を長持ちさせることができます。

林野庁や国土交通省が示している木材利用の考え方でも、「木材は適材適所で使い、適切に維持管理することで長く使える素材」とされています。これは、腐った木材の補修にもそのまま当てはまります。

腐った木材をどう扱うかは、「今だけ直す」のではなく、「これからどう使うか」を考えることが大切です。正しい補修と予防を組み合わせることで、安全性とコストのバランスを取りながら、木材と長く付き合うことができます。

📌 記事のポイントまとめ

  • 腐った木材は状態次第で補修できるが、見極めを誤ると再発や事故につながる
  • パテ補修は軽度な欠け向きで、内部まで腐っている場合には不向き
  • 強度が必要な補修にはエポキシが有効だが、使いどころの判断が重要
  • 木材の腐食対策は「水分をためない環境づくり」が最も効果的
  • 腐った木の放置は安全面・費用面の両方でリスクが大きく、早期対応が重要
  • 補修とあわせて予防策を行うことで、再発を防ぎ長持ちさせられる

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